トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》

トヨタ自動車は6月21日、高級ミニバン『アルファード』と『ヴェルファイア』の新型車を発表した。価格はアルファードが540万〜872万円、ヴェルファイアが655万〜892万円で、同日から販売を開始した。

トヨタブランドとしては『センチュリー』(2008万円)、『MIRAI(ミライ)』(710万〜860万円)に次ぐ高級車となるが、量産車種としては実質、最高価格のクルマと言っていいだろう。しかも累計の販売台数はグローバルでアルファードが136.8万台(国内117.9万台)、ヴェルファイアが62.6万台(国内57.4万台)と、トヨタの利益を支える最大の貢献車種となっている。

◆「兄弟車」戦略で立ち向かった高級ミニバン市場
もともと高級ミニバン市場は、1997年に発売された日産自動車の『エルグランド』が先鞭をつけた。一時は月販1万5000台を超える販売を記録し、約19カ月で累計生産台数が10万台を突破した。その牙城を崩そうとトヨタが2002年にアルファードを投入。続いて2004年にホンダが『エリシオン』を発売して、三つ巴の戦いとなったが、販売力に勝るトヨタのアルファードが抜け出した。

2008年には2代目アルファードが高級感がさらにアップして登場。加えてより個性を求めるお客のニーズに応えるために兄弟車のヴェルファイアも投入した。これによって、エルグランドとエリシオンに大きな差をつけることになった。その後、エリシオンは生産を停止に追い込まれ、エルグランドの販売も低空飛行で、高級ミニバン市場はトヨタの独壇場になっていった。

しかし、そんなトヨタに頭の痛い問題が出てきた。それはアルファードに比べて、ヴェルファイアの販売がここ数年まったく振るわないということだ。2022年の乗用車ブランド別ランキング(軽自動車除く)を見ても、アルファードが6万225台を販売して10位なのに対し、ヴェルファイアは50位以内にも入っていないのだ。

話によると、両車合わせた台数の5%ほどにまで販売が落ちていたそうだ。そのため、社内では廃止したほうがいいという声が出ていた。しかし、その声が広まると、開発や販売店などから反対の声が噴出、また豊田章男会長が愛用しているクルマということで、なんとしてもヴェルファイアを復権させようとなった。

◆ヴェルファイア復権なるか?
チーフエンジニアの吉岡憲一氏によると、新型では専用サスペンションチューニングやボディ補強を施し、専用のパワートレーンユニットを設定して、運転する喜びをアップしたという。また、専用グレードの「Z プレミア」グレードを設定し、ヴェルファイアらしいアグレッシブで上質感のある専用加飾も施した。そのうえ、高い操舵応答性とタイヤの設置感にもこだわったそうだ。

また、両車種とも、高級セダンに匹敵する後席乗り心地の良さを実現するため、人が不快に感じる振動を従来の3分の1に低減した。具体的には、ボディの剛性アップと周波数感応型ショックアブソーバーの採用によりキャビンへの振動入力を低減。ボディから伝わる微振動を遮断するシートも開発した。

「アルファードとヴェルファイアには、あらゆるシーンに配慮した設計など、『おもてなし』のこころがいくつも詰まっている」とサイモン・ハンフリーズ取締役・執行役員は強調する。

両車種合計の販売目標は月間8500台。うちアルファードが約70%、ヴェルファイアが約30%である。果たしてこの目論み通りに行くか、要注目である。

トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ自動車の新型『アルファード』《写真撮影 山田清志》 トヨタ自動車の新型『ヴェルファイア』《写真撮影 山田清志》 トヨタ自動車の新型『アルファード/ヴェルファイア』と(左から)チーフエンジニアの吉岡憲一氏、サイモン・ハンフリーズ取締役・執行役員、中嶋裕樹取締役・副社長《写真撮影 山田清志》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》 トヨタ ヴェルファイア 新型《写真撮影 山内潤也》