いすゞ エルフ EV走行《写真提供:いすゞ自動車》

いすゞ自動車は3月7日、小型トラック『エルフ』シリーズをフルモデルチェンジ、同社初の量産バッテリーEV(BEV)『エルフEV』を含む各モデルを市場投入すると発表した。

エルフ新型は「選べる 自由、それが『運ぶ』の未来」をコンセプトに開発。「デザイン」「ホスピタリティ」「エコノミー」「セーフティ」「コネクテッド」「ラインナップ」の6つのポイントを中心に進化を図った。

東京地区希望小売価格は、標準キャブ2WD 2トン積、標準ホイールベース、木製平ボディ、SGグレード、ADASパックプレミアム、3.0リットルディーゼルエンジン(4JZ1-TCS)×9速AMTの場合、648万1200円。

また、いすゞは中型トラック『フォワード』シリーズもフルモデルチェンジ。高度化・複雑化する物流業界の課題に対応するため、内外装の全面刷新に加え、各種快適装備・ 安全支援機能の大幅拡充を行い、2023年夏頃の発売開始を予定している。

◆トラックを使う楽しさを感じるデザイン
エルフ新型は「PLEASURE to CARRY」をコンセプトに内外装のデサインを一新。先進性とタフさ、機能性と華やかさを高い次元で両立し、「運ぶ」を担うドライバーがトラックを使う楽しさを感じられるデザインを追求した。

エクステリアは、商用車らしい堅牢さを表現しつつ、フロントフェイスで躍動感や先進性を表現。インテリアは親しみやすさと軽快感を表現し、長く使う道具としてのタフさやロングライフで褪せないデザインを表現した。インテリアカラーにはドライバーの多様化を意識したニュートラルな色味や素材を採用。人が直接触れる部分をブラックで表現することで、識別性を向上させ、傷のつきにくさに配慮している。

標準キャブは、ドライバーの上方・前方・側方のクリアランスを大幅に拡大し、小型貨物キャブオーバートラックで最もゆとりあるキャブを実現。ドア開口部の拡大と上下2方向からアクセス可能なセミグリップ式ドアハンドルを採用し、乗降性・操作性を向上させた。

また、ステアリングの小径化やシートの材質・表皮縫製・スライドピッチの変更、ペダル位置の最適化など、運転時に触れるすべての機能を徹底的に見直し、最適なドライビングポジションを追求。アームレストやシートヒーターを採用し、ドライバーの労働環境改善に貢献する。7インチのメーターディスプレイには、安全支援機能の作動状況や車両コンディションを表示し、運転時の視線移動や操作を最小限に留める。その他、ステアリングスイッチの採用やスイッチレイアウトの見直しにより操作性を向上。その他、収納スペースの拡大を図るなど、日々の仕事に寄り添った使い勝手の良さを実現した。

◆エルフEV、多彩なラインアップを用意
エルフ新型では、世界中の多様なニーズにも対応するBEV『エルフEV』を追加。標準キャブのGVW(車両総重量)3.5トン未満車からワイドキャブのGVW7.5トン車まで幅広いラインアップを実現している。また、車両の操作系やレイアウトをディーゼル車と可能な限り共通化することで、これまでディーゼル車で使っていた様々な架装にも対応し、利便性を損なうことなくBEVを導入できる。

エルフEVは、コンパクトな高電圧バッテリーパック(20kWh/個)を、車格や使われ方に応じて2パック(40kWh)から最大5パック(100kWh)搭載するモジュール方式を採用。普通充電と急速充電に対応するほか、専用の機器を通して外部へ電力供給もできる。

高電圧バッテリーは常に温度をモニタリング。低温下では車両停車時でも自動で温度管理を行い、寒冷地でも運行できる。また、キャブ内空調による消費電力を抑え航続距離を延ばすため、ヒートポンプ式空調システムの採用に加え、シートヒーターを標準設定。意図しない不要な暖房使用を抑制するため、ヒーターのON/OFFを行う専用スイッチを設けた。

いすゞでは、商用BEVの導入検討サポート、導入課題の解決、導入効果の定量化と拡大化提案によるカーボンニュートラルの実現に向けたトータルソリューションプログラム「EVision」を提供。2024年度中には、特装架装向けシャシ(塵芥車・高所作業車)と荷室への移動が可能なウォークスルーバン『エルフEV アーバントランスポーター』を展開する。

◆9速DCT「ISIM」を新開発
エルフ新型では、AT免許で運転可能な9速DCT「ISIM(Isuzu Smooth Intelligent TransMission)」を新開発。燃費性に優れる4JZ1エンジンに組み合わせることで、さらなる燃費性能を追求した。ISIMは9速に多段化したことで、エンジン回転数の上昇を抑え、低騒音化による運転疲労軽減を実現し、誰でも省燃費運転がしやすくなる。また、デュアルクラッチ構造による素早いシフトチェンジで、変速時のトルク抜けやシフトショックを低減。トラックのイメージを塗り替えるドライブフィーリングを実現させる。

さらにキャブの空力改善や省燃費タイヤの採用拡大により燃費性能を向上。2025年度燃費準に対して、全車達成しており、中でも2トン積ISIM搭載車(エコストップ付)は+15%達成を実現し、CO2削減に貢献する。

◆最新の安全支援機能とコネクテッドサービスを装備
今回の改良では、ステレオカメラの性能向上に加え、近距離ミリ波レーダーおよびドライバーステータスモニターを追加し、安全支援機能を新規設定する。「プリクラッシュブレーキ(右左折時)」「全車速車間クルーズ」「レーンキープアシスト」「ドライバー異常時対応システム」「可変配光型LEDヘッドランプ」「標識連動型スピードリミッター」「フロントブラインドスポットモニター」を国内小型トラックとして初搭載。このほか、「ドライバーステータスモニター」「標識認識機能」も装備する。

安全支援機能は装着が義務化されている機能を中心に構成している「ベーシック」をベースに、都市内配送で有効な機能を加えた「スタンダード」、自動車専用道での走行時に有効かつ利便性の高い装置を含む「アドバンス」、操舵制御まで行う「プレミアム」の全4種のパックオプションで設定し、ニーズや運行形態に合わせて選ぶことができる。

また、自動作動機能付き電動パーキングブレーキを標準設定し、パーキングブレーキのかけ忘れや引き不足による自走事故を防止。その他、タイヤ空気圧モニタリングシステムをオプション設定する。

コネクテッドサービスでは、商用車テレマティクス「MIMAMORI」および高度純正整備「PREISM(プレイズム)」を新型エルフでも提供する。EVの普及を見据え、商用BEVの稼働を支えるPREISMと運行管理、充電マネジメントを両立するMIMAMORIを新規開発し、遠隔充電管理機能と多様な連携機能により様々なエネルギーソリューションを提供。PREISMでは、スマホアプリの機能を拡張し、車両だけではなく、ドライバーとも“つながる”ことでユーザーの安心と安全な稼働をサポートする。さらに、架装物のモニタリングシステム(架装コネクテッド)に対応する新開発デバイスをエルフおよびフォワード新型へ2023年中に車両実装し、架装物の稼働も支えることで、車両(シャシ・架装)の安心と安全な稼働を幅広くサポートする。

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