日産セレナ新型《写真提供 日産自動車》

日産自動車が11月28日に発表したミッドサイズミニバン、第6世代『セレナ』。日産が看板技術としているシリーズハイブリッド「e-POWER」の駆動用電気モーターは、同社の電気自動車(BEV)『リーフ』と共通の「EM57」型。

初搭載は2012年に第1世代リーフの改良時で、2017年に現行リーフが登場したときにレアメタル使用量削減などのマイナーチェンジを受けつつ、現在も使い続けられている熟成ユニットである。

◆熟成の電気モーター
EM57はバッテリーやハイブリッドシステムから供給される電力次第で出力が大幅に変わる。第1世代リーフのピーク出力は80kW(109ps)だったが、現在の市販モデルで最もピーク出力値が高いのは60kWhの大容量バッテリーを搭載する「リーフe+」で160kW(218ps)、バッテリー容量40kWhのノーマル「リーフ」は110kW(150ps)。第6世代セレナのスペックは最高出力が120kW(163ps)と、第5世代から20kW(27ps)の大幅アップ。最大トルク315Nm(32.1kgm)は反対に320Nm(32.6kgm)からわずかにダウンしている。

第5世代から全面刷新されたのはその電気モーターを制御するパワーコントロール側。日産は第2世代e-POWERをうたっている。ハードウェア面では第1世代に対してインバーターの小型化と重量減、回路の熱損失の低減などがうたわれている。

◆パワーコントロールの制御ポリシーに特徴
もっとも、カスタマーがその変化を実感できそうなのは機構よりも制御ポリシーだろう。加速時のプラスGの安定性を向上させ、加速中の微妙な前後方向の振られを徹底的に取り去ったという。また、エンジンによる発電を舗装の劣化などでロードノイズが増大しているときに行うという現行『ノート』で採用された制御も引き続き採用されている。

筆者は現行ノートで3600kmテストドライブを行っているが、そのさいにロードノイズが大きいときに発電を行うというユニークな制御が、実際のドライブにおける体感的な静粛性の向上にかなり貢献するという印象を抱いた。そういう制御が行われているということを知ったのはドライブ中盤で、それを知るまではエンジンの発電頻度があまりに少なく、これで走行用の電力はちゃんと行われるのかと怪訝に思ったりした。エンジンを停めていてもどのみちうるさいというときにまとめて発電しておくというのは、ファミリードライブをより快適にすることだろう。

アクセルペダルを抜いたときに回生ブレーキを強めにきかせるワンペダルコントロールも第5世代に引き続き実装されているが、最大減速Gを0.15Gから0.2Gへと、BEV(バッテリーEV)のリーフ並みに強めている。リーフのワンペダルに慣れていると0.15Gでは少し弱いという印象があったが、その問題は解消をみているものと予想される。電気モーターのパワー増強とあいまって、よりBEVに近いドライブフィールを実現させていることだろう。

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