ベントレー・フライングスパー 新型の格納式フードマスコット「フライングB」《photo by Bentley》

ベントレー(Bentley)は11月18日、4ドアサルーンの『フライングスパー』新型にオプション設定されている新世代の格納式フードマスコット「フライングB」を、97%の顧客が選択した、と発表した。

◆オーナーが車両に近づくとボンネットマスコットが出現
新世代のフライングBは、新型フライングスパーにオプション設定。最上位モデルの『フライングスパー・マリナー』に標準装備されている。オーナーが車両に近づくと、グリルの上にあるベントレーのネームバッジが滑らかに視界から消えると同時に、磨き上げられたフライングBのボンネットマスコットが出現する。ヘッドランプとマスコットの透明アクリルの翼がシンクロしながら、オーナーを歓迎する光を一瞬放つ。

最新のフライングBのデザインは、6代目だ。新型フライングスパーでは、ベントレーのデザイナーとエンジニアが、フライングBのアートとクラフトを次のレベルに引き上げるという課題に取り組んだ。ラジエーターを飾るエンブレムは、ベントレー史上初めて電子制御で展開し、収納時にはカバープレートに置き換わり、透明なアクリル製の羽を備え、内部が照らされるようになっている。

新型フライングスパーの開発中、英国クルーの社内チームによる複数のデザインがプロトタイプとして作成され、取締役会で選考が行われた。そして、ホー・ヤン・ファン氏によるデザインが、満場一致で選ばれたという。

◆タービン鋳造技術を利用
最新のフライングBは、オーステナイト結晶構造を持つ316グレードのステンレススチールの一体成型品で、極端な温度変化にも耐えることができるという。また、モリブデンを配合することで耐食性を高めており、北極圏から赤道付近まで一年中風雨にさらされる部品として、重要な特性を持っている。

フライングBは、レスターキャスト社において、通常ガスタービンのブレードなどの精密部品に用いられるインベストメント鋳造(ロストワックス)法で作られている。複雑な形状の部品によく使われている鋳造法で、時間はかかるが、砂型鋳造よりも公差が少なく、より薄い壁や滑らかな表面を作ることができるという。

まず、溶けたロウを金型に注入。水溶性のコアがアクリルのクリスタルの2つの翼が収まる空洞を満たし、セラミックの中心コアがワックス型に照明配線のための通路を作る。その後、ワックスのエンブレムを金型から取り外し、水溶性コアを溶かしてワックスでフライングBを製作する。

◆すべての工程を終えるまでに11週間
次に、コロイダルシリカとアルミナを含むファインセラミック溶液の複数の層でワックスのエンブレムを包む。これらの層が固まった後、蒸気圧チャンバーでワックスを溶かし、エンブレムの形をした中空の空洞を持つセラミックの型を残す。

ここで、1600度に加熱した溶融316ステンレススチールをセラミック製の鋳型に流し込む。鋼鉄が冷えて固まると、外側のセラミックが取り除かれ、セラミックのコアは苛性溶液を使って加圧溶解される。ショットブラストで微量のセラミックを除去し、「エクストルードホーニング」と呼ばれる工程で内部の通路を滑らかにして配線が通れるようにする。

セラミックの残りをすべて除去し、部品を測定して正確な公差で製造されていることを確認した後、フライングBは手作業による研磨を行う。この手作業による最後の仕上げが、滑らかなステンレススチールの深い光沢を引き出すという。すべての工程を終えるまでには11週間かかり、最後はWCMヨーロッパ社において光を放つクリスタルアクリルの翼と配線、小さなLEDが組み合わされて、マスコットは完成する、としている。

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