プジョー308 SW GT HYBRID《写真撮影 島崎七生人》

コンサバから一転、ハッチバック以上に際立つスタイルに
プジョー『308』のワゴン版『308SW』は、ハッチバックに対しホイールベースが+50mm長く2730mmの設定。その延長分はリヤシート(ハッチバックより少し後ろに引かれている)と、608〜1634リットルのラゲッジスペースに充てられている。

コンサバだった(がその分オーソドックスでもあった)先代に対し、存分に腕を奮ったスタイリングはハッチバック以上に際立っている印象。とくに張り出したリヤフェンダーから、樹脂製ゆえに思いのままの造形が可能になった…そんな感じのスポイラー形状一体のリヤゲート回りにかけては見応え十分だ。ハッチバック同様、GTグレードのLEDリヤコンビランプは3Dで、“3本のライオンの爪”が斜めにあしらわれているのも洒落たアクセントになっている。“目に焼き付くようなリヤビュー”とは、Webで見たSWのカタログの中にあったコピーのひとつ。

新しいプジョーに乗っていることを楽しませてくれる
運転席まわりでは、ステアリングのボトム部分にGTグレードを示すオーナメント、上部左右のシルバーのリングがつき、リモコンミラーの十字キーにメッキの加飾がプラスされるなどしているが、基本は他の新型『308』と共通だ。トリム、スイッチ類の質感、フィニッシュレベルは高く、ガタミシいった昔のクルマとは隔世の感あり。

限られた試乗時間内ですべてのチェックは不可能だが、インフォテイメント系のコネクテッド機能を始め、i-Toggle(アイ・トグル)と呼ばれる、センターの10インチタッチスクリーン下のカスタマイズ可能なショートカット機能、またスクリーンの画面自体のセンスのいいグラフィックデザイン(操作ロジックもまあ、わかりやすい)なども、新しいプジョーに乗っていることを楽しませてくれるアイテム。センターコンソールに備わる始動ボタンとその手前のトグル型のシフトスイッチ、さらに後方の走行モード切り替えスイッチなども、位置、操作ロジックとも実に扱いやすい。

後席はハッチバックに対し足元が広く、頭上もルーフ形状の違いで余裕がある。ラゲッジスペース、床面のサイズが奥行き、幅とも1000mm+、トノカバーまでの高さは490mmほどで、使い勝手はよさそうだ。

プラグインハイブリッドの「GTハイブリッド」
試乗車はシリーズのトップモデルに位置づけられるプラグインハイブリッドの「GTハイブリッド」だった。ターボチャージャー付き4気筒1.6リットル(180ps/250Nm)に定格出力30kW、最高出力81kW、最大トルク320Nmの電気モーターと、総電圧305V、総電力量12.4kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。車重1720kgとなっており、SWのGT同士で「HDi」(ディーゼル)に対し+240kg、ハッチバックのGTハイブリッドと較べると+60kg。タイヤは225/40 R18 92Y(ミシュラン・プライマシー4 S1・ドイツ製)を装着、指定空気圧は前:260kPa/後:260〜310kPaとなっている。

借り受けたのは下ろしたばかりの新車で、乗り心地など、各部のアタリがつくのはこれからであろうと念頭に走らせてみたが、走りは力強くスムースなもの。走行モード自体はELECTRIC/HYBRID/SPORTの3モードが任意で切り替え可能だが、SPORTは当然ながら積極的にパワフルさが味わえるが、HYBRIDでは、高速巡航で適宜エンジンを使いながら効率的にクルマを走らせているのがわかる。モーター走行からのエンジンの“入り”もフワッとショックはまったくなく、騒音面での違和感もない。

前述のとおりぼぼ新車状態であるのと、タイヤの空気圧が高めということもあり、走り込んだハッチバックなどに較べると幾分か締まったタッチも感じられた。が、フラットライドを基本に落ち着いた走りっぷりが上級車の味わいに思えた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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