ルノー・マスターバン H2-TECH のプロトタイプ《photo by Renault》

ルノーグループ(Renault Group)は10月11日、新型商用燃料電池車『マスターH2-TECH』の量産モデルを10月17日、フランスで開幕するパリモーターショー2022で初公開すると発表した。

◆ルノーグループの新たな合弁会社「HYVIA」が開発
ルノーグループは新型商用燃料電池車を、2021年6月に設立された新たな合弁会社の「HYVIA」で開発し、欧州市場で販売する計画だ。HYVIAはルノーグループと、水素燃料電池技術を手がけるプラグパワー社が折半出資で設立した。

車名のHYVIAは、水素の「HY」に道路の「VIA」を組み合わせたもの。HYVIAは、水素移動ソリューションにより、カーボンフリーの新しい移動手段を提示することを目指している。

HYVIAはフランスを拠点とし、ヨーロッパ市場向けに、燃料電池システムを搭載した小型商用車、水素燃料補給ステーション、水素の供給、保守のためのサービスなどを幅広く顧客に提供していく。

◆航続最長の『マスターバンH2-TECH』は500km
新型商用燃料電池車は、ルノーグループのフランス・バチイイ工場で組み立てを行い、欧州市場で販売される予定だ。水素充填と充電ステーションの整備も行う。

ルノーグループの新型商用燃料電池車は、3車種が開発されている。すでにプロトタイプとして、『マスターシャシーキャブH2-TECH』と『マスターシティバスH2-TECH』、『マスターバンH2-TECH』が公開されている。マスターシャシーキャブH2-TECHは、航続250km、19立法mの貨物スペースを備えた大型バン。マスターシティバスH2-TECHは、最大15人の乗客を輸送できる都市型ミニバス。航続は300kmで、企業、地方自治体、地方公共サービスに最適という。

新型商用燃料電池車3車種は、電気エネルギーと水素ベースのエネルギーの両方を動力源とするデュアルパワーアーキテクチャをベースに開発された。3車種の中で、最も航続の長いマスターバンH2-TECHの場合、航続500kmの内訳は、電力からが100km、水素からが400kmとなる。新型商用燃料電池車は仕様によるが、蓄電容量33kWhのバッテリー、30kWの燃料電池、3〜7kgの水素タンクを搭載する。マスターシャシーキャブH2-TECHのプロトタイプの場合、1.5kgの水素タンクを2本、合計3kg分を装備した。マスターシティバスH2-TECHには、1.5kgの水素タンクを3本、合計4.5kg分を搭載している。

◆水素燃料の補給は最短5分
車両への電動パワートレインと水素燃料電池システムの搭載は、グレ・ザルマンヴィリエに拠点を置くルノーグループの子会社、PVIによって行われる。電気モーターはクレオン工場で生産され、燃料電池の組み立てはフラン工場で行う。水素タンクはフォルシアから供給を受ける。

ルノーグループは、HYVIAの水素燃料補給ステーションも開発している。水素燃料補給ステーションの操作は、簡単に行えるようにした。水素は、水の電気分解を利用して現場で生成されるか、ガス管トレーラーを使用して供給される。システムは水素を圧縮して貯蔵し、必要に応じて車両に充填する。

この水素燃料補給ステーションは、購入、リース、レンタルが可能。すべての安全基準を満たしている。また、内燃エンジン搭載車両と同様の利便性が追求されており、水素充填時間は最短で5分で完了する、としている。

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