ダイハツ ムーヴキャンパス ストライプス《写真撮影 中野英幸》

先代を角度で0度だとすると、新型の変化の振れ幅は10度ではなく逆回転で回しに回した結果の350度なのだそう。一見すると超キープコンセプトだが、“継承と進化”の検討を重ね誕生した結果が新型のスタイルである。

“カワイイ”を少し大人びた方向にチューニング
2016年の発売から約6年、累計販売台数38万台超。直近でも当初の販売目標(=月販5000台)を上回る台数(5600台ほど)を売っていた人気ぶりだった。そんな従来型の世界観を継承したのが新たに「ストライプス」と名付けられたシリーズ。ひと目見て従来型のデザインを活かした外観は、お断りしておけば(!)全面的に新しい。

顔まわりでは従来の丸型アイコンエンブレム(新型もオプション設定で用意がある)の代わりにバラ文字で車名をアピールしたほか、ランプ形状や2トーンのグラフィックを一新。リヤ側ではライセンスプレートがバンパーに移設され、バックドア回りをスッキリさせた。サイドのドアハンドル部の凹みを2トーンの境目に跨がないようにしたり、全体としてスッキリ感を狙ったところがポイント。今までの“カワイイ”を少し大人びた方向にチューニングし直し、時代のセンスに合致させたのだそうだ。

室内空間は相変わらずの心地よさ
DNGAの新採用で僅かにヒップポイントが上がったという室内空間は、相変わらずの心地よさだ。インパネは今どきの多機能9インチディスプレイを中央に据え、スッキリと長時間過ごしても快適そうなデザインを採用。Gターボ、Gグレードなら保温機能付きのカップホルダー、シートヒーターも備わる。スマホのワイヤレス充電機能やインパネ上面には、マスクの格納場所にも想定されたフタ付きのアッパーボックスの用意もある。

後席は240mmストロークのスライドと、4〜50度のリクライニング機能付き。シートサイズもタップリしており、空間自体の広さはいわずもがなだから、快適に過ごすことができる。

約50kgの軽量化も達成したという新型は、NA(52ps/6.1kgf・m)でもストレスのない走りを見せ、ノイズも気にならず快適なドライブが体感できる。街中をメインとした用途であれば不満はなさそう。実車を扱うと、手狭な場所でも“クルリン!”と回れる最小回転半径4.4mの利便性も実感できる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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