ダイハツ アトレー 新型《写真撮影 中野英幸》

荷室が広く、遊びのギアが満載できると人気の新型『アトレー』。今回の「ワンポイント確認」は、軽商用車だけど、ほんとに遊びに行ける乗り心地なの?である。

いつもと違う視点にわくわく感が止まらない
全長が3395mm、幅が1475mmと、ここまではいいのだが、全高は見上げるような1890mm。思わず、軽自動車の大きさ制限っていくつだっけと慌てるほどだ。調べると2mとあるので、まだ基準内であった。

背が高く、座面も高い。運転席によじ登るとまではいかないけれど「乗り降りしやすく」と仕立てられた車両に慣れた身には、よいしょと軽く気合が入る。そして、座ったあとに広がるのは視界の広さだ。いつもと違う視点にわくわく感が止まらない。

ただ、ドラポジはとりにくい。軽自動車は構造上、テレスコピック(ハンドルの前後調整)が採用されにくくペダルで座面の前後を合わせるとハンドルが遠くなりがちなのだが、アトレーもしかり。私のドラポジの場合、せめて背もたれの調整をあとワンノッチ立てられるようにしてくれればいいのにと思う。

理由はふたつ。ひとつは、ヘッドレストが後頭部から離れて、追突されたときにむち打ちになりそうだから。ふたつめは、背もたれが肩甲骨より下までしか当たらないので、カーブを曲がるときに上体を支えてくれず、腹筋が鍛えられるから。試乗中、あとちょっと背もたれが立てられれば……と何度、思ったことかわからない。

「4ナンバーの制約」も願ったり叶ったり
3気筒でターボが搭載されたエンジンは、パワー的には十分。ただ、アクセルを踏み込むとエンジン音はうなる。それに加え、背が高いために高速道路では横風を受けやすく、さらに風切り音やロードノイズ(タイヤが路面にあたる音)が大きくなるため、時速は80〜90km/hくらいが走りやすい。ただ、ゆっくりのんびり目的地を目指すのも、この視界の広さなら楽しいものである。

軽の乗用車ではなく商用車なので、4ナンバー。ゆえに毎年5月に私たちを悩ます自動車税は5000円と安い(軽乗用車は10800円)。その分、車両は荷室の開口部を広くしたり、後席より荷室が広くなくちゃいけないなど制約があるのだが、実際、遊びギアを満載していくのならその方が願ったり叶ったりである。後席の座面はぺったんこで座り心地はいまひとつだが、1人〜2人で出かけるならフラットな後席シートの方が荷物は積みやすいというものだ。

ガソリンタンクの容量は38リットルで、満タンにしてもインパネに示される航続可能距離は400kmを切る。とはいうものの、このフラットで広い荷室を犠牲にしてまでタンクを大きくしろという気は起こらない。そんなものは、こまめに給油すればいいのだ。

乗り手の工夫でめっちゃ使える
結論。アウトドア派に人気のアトレーは、ドラポジこそとりにくいけれど、いろいろ乗り手の工夫でめっちゃ使える、走らせて楽しい面白クルマだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。

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