日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》

日産自動車の欧州部門は5月18日、「ジューク」(Nissan Juke)をベースした1台限りのラリー仕様車『ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート』を発表した。

◆後席は取り外されスペアタイヤを積むスペースに
同車は、ダットサン『240Z』(日本名:日産『フェアレディZ』)が東アフリカ・サファリラリーで勝利して、50周年を迎えたことを祝福し、2021年6月にレンダリングイメージが公開されていた。そのレンダリングイメージが好評だったことから、今夏の『ジューク・ハイブリッド』の欧州発売に合わせて、1台限りで実車化されることになった。

ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュートでは、オフロードタイヤを収めるために、ワイドフェンダーを装着。フードとルーフには、ライトが追加された。黒いボンネットフードと黒いホイールは、1971年に東アフリカ・サファリラリーを制したダットサン240Zへのオマージュだ。サスペンションはストロークを増やしたオフロード仕様となっており、265/70R16タイヤを装着している。

室内にはロールケージを装着し、後席は取り外され、スペアタイヤを積むスペースとした。レーシングシートに4点式ハーネスを装備する。競技用消火器、ドライバーとナビゲーターが通信するためのヘッドフォン付きインターホンシステム、アルカンターラ仕上げのステアリングホイール、油圧ハンドブレーキが採用されている。

◆ルノーと共同開発されたハイブリッド
『ジューク・ハイブリッド』の新世代のハイブリッドパワートレインは、ルノーグループと共同開発された。日産製の1.6リットル直列4気筒ガソリンエンジンは、最大出力94hp、最大トルク15.1kgmを発生する。

日産製の電気モーターは、最大出力49hp、最大トルク21kgmを引き出す。ルノーは出力15kWの高電圧スターター/ジェネレーター、インバーター、蓄電容量1.2kWhの水冷バッテリー、トランスミッションを開発した。

トランクスペースは354リットル。蓄電容量1.2kWhのバッテリーを搭載するため、ガソリンエンジン車と比較して68リットル減少した。後席を折りたたむと、トランクスペースは1237リットルとクラス最高を維持する。後席のニールームも、553mmを保つ。

◆発進時は100%電気
新開発のトランスミッションは、シンクロナイザーリングの代わりにドッグクラッチを使用して、4つのエンジンギアと2つのEVギアをシフトする。さらに、摩擦を減らすために、このトランスミッションはクラッチを使用していない。発進は100%電気で行う。2つのEVモーターを組み合わせてギアを同期させ、スムーズで応答性の高い加速を実現する。

トランスミッションは、高度なアルゴリズムによって制御され、シフトポイント、バッテリーの回生などを管理する。パワートレインは走行条件に応じて、シリーズ、パラレル、その両方と、ハイブリッド方式を切り替える。これにより、レスポンスに優れる加速と低排出ガスを両立しているという。

ジューク・ハイブリッドのインテリジェントドライブシステムは、EVモードで走行する時間を最適化することを重視して、パワートレインを制御する。EVモード時の最高速は55km/hとし、ドライバーはパワフルかつ持続的なEV走行を楽しむことができるという。

◆燃費は19.2km/リットル
システムは自動的に、EVモードでの走行時間を最大化する。住宅地や学校、市街地の駐車場などでエンジンを始動したくないユーザー向けには、専用のEVモードスイッチが採用された。バッテリーの充電状態に配慮しながら、ジューク・ハイブリッドはEVモードを優先して走行する。ジューク・ハイブリッドのEVモードは、都市部での走行の最大80%をカバーする。この効果もあって、都市サイクルでの燃費は最大40%向上した。複合モード燃費は19.2km/リットル、CO2排出量は118g/kmとした。

減速時には、電気モーターが発電機として機能し、運動エネルギーを取り込み、それを電気に変換してハイブリッドシステムの駆動バッテリーに蓄える。高度な回生協調ブレーキ機能は、回生ブレーキと摩擦ブレーキを組み合わせて、自然なペダルフィーリングと効率的なエネルギー回収を追求する。ドライバーには、ブレーキペダルからの直感的なフィードバックが、常に得られるようにした。

ジューク・ハイブリッドでは、ドライブモードセレクターを操作して、エコ、ノーマル、スポーツの3種類のモードが選択できる。3種類のモードに応じて、ステアリング操作、エアコン制御、アクセルペダルの応答が変化する。回生ブレーキの作動とバッテリーの充電状態も変化する。たとえば、スポーツモードでは、加速をアシストする電力を最大化するために、ブレーキング時の回生が高レベルに設定される、としている。

日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート と1971年の東アフリカ・サファリラリーを制したダットサン『240Z』(日本名:日産『フェアレディZ』)《photo by Nissan》 日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》 日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》 日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》 日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》 日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》 日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》 日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》 日産 ジューク・ハイブリッド・ラリー・トリビュート《photo by Nissan》 ダットサン 240Z:1971年東アフリカ・サファリラリー優勝車《photo by Nissan》 ダットサン 240Z:1971年東アフリカ・サファリラリー優勝車《photo by Nissan》 1971年東アフリカ・サファリラリー《写真提供 日産自動車》 1971年東アフリカ・サファリラリー《写真提供 日産自動車》 1971年東アフリカ・サファリラリー《写真提供 日産自動車》