ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》

ベントレーは、2021年1月4日に発表していたプラグインハイブリッドの第1弾モデル『ベンテイガハイブリッド』新型について、2021年11月より日本でデリバリーを開始すると発表した。

新型ベンテイガハイブリッドは、Eモーターに3.0リットルV6ツインターボガソリンエンジンを組み合わせ、449PSを発揮するプラグインハイブリッドのSUV。総航続は536マイル(約860km)、EVモードでの航続は31マイル(約50km)だ。日本でのメーカー希望小売価格は2269万円(税込み)。

この発表にともない11月2日、東京都内で実車のお披露目となるメディア発表会が行われた。

◆今後1〜3年の間に、派生モデルや新製品が登場

メディア発表会では、ベントレーのイメージムービーから始まり、続けてCEOのエイドリアン・ホールマーク氏によるビデオメッセージが公開された。

「102年の歴史を持つベントレーは、持続可能な電化への道へ進もうとしている。そしてラグジュアリー分野における、業界の新たなロールモデルとなることなど、大きな変化の時でもある。1年半前から今までの間に登場した全モデルを含め、現在、当社の歴史上最も新鮮な製品群を揃えており、ベントレーとしてはまさに最高潮の時を迎えている。そして、うれしいことに、2022年の前半に向けて、これまでいただいた多くの受注残が、我々に大きな自信を与えてくれている」

ハイブリッドモデルや、これからのベントレーについても発表があった。

「日本へは、ハイブリッド化された最初のベントレーである第2世代のベンテイガがまもなくデリバリーされる。そして来年の第2四半期には、『フライングスパーハイブリッド』が発売予定だ。ハイブリッドのバッチを付けたこのふたつの車を合わせると、シリーズの3分の2でハイブリッドが導入されたことになり、これらの車のハイブリッドバージョンが今後数年間でベントレー全体の売上のかなりの割合を占めるようになると予想している」

「今、私たちは非常に先進的で、かつ確固たる方法で電動化を進めている。お客様の声にも耳を傾け、60%以上のベントレーオーナーが、次の5年後に購入する車に電動化されたベントレーを求めていることがわかった。そこで私たちはこの機会を捉え、 2026年からはハイブリッド車のみを販売し、2025年後半から2026年前半に最初のフル電気自動車を発売する。そして2030年にはフル電気自動車のみを提供することを決定した」

「102年の歴史を持ち、ビッグエンジン、ビッグトルク、とくにW12はベントレーの代名詞であり、そのような車を過去10年間で10万台以上を販売してきた当社にとって、これは大きな変化となる。しかし、私たちは自信を持って、自分たちの直感と分析を信じ、とくにお客様の必要性と要望に従っていく。今後1〜3年の間に、多くの派生モデルや素晴らしい製品が市場に登場することをお約束する」

◆アジアパシフィック地域にとっても電動化の最初の一歩

続いて、シンガポールに駐在する、ベントレーモーターズ APAC リージョナルダイレクター、ニコ・クールマン氏によるビデオメッセージが公開された。

「私は8カ月前、ベントレーに加わり、現在の強固な地位から将来的に持続可能なラグジュアリーモビリティのリーダーとなるための新たな挑戦に乗り出した。コロナ禍という世界的な問題を抱えながらも、ベントレーの2021年はこれまでのところ素晴らしい年になっている。アジアパシフィック地域では、2021年の半期は、プラス40%の成長を達成し、グローバルでの半期の記録的な売上高と収益性の両方に貢献した。日本はこの成長の非常に重要な原動力であり、アジアパシフィック地域の全販売台数の36%を占めている。ベントレーは50年以上にわたって日本で継続的に事業を展開しており、私たちにとって非常に重要な市場であることは間違いない」

このように、日本のセールスが非常に好調だったことを述べた。また、日本には9つのショールームがあること、そしてこれらのディーラーは何年にもわたって好調であることも語った。

「本日は、持続可能な未来への旅に向けて重要な次のステップを踏み出すベンテイガハイブリッドの日本初公開を体験していただく。これは日本のみならずアジアパシフィック地域にとっても電動化の最初の一歩となる。私たちは、お客様が若返り、より多様で、より進歩的になってきていることをよく理解し、ラグジュアリーで革新的な体験をお客様と共有できるベントレーの未来に期待している。アジアパシフィック地域におけるベントレーの見通しは、とくにお客様が全製品ラインアップに対する強い関心を持たれていることで、 非常に明るいものがある。今後もベントレーらしさを発揮して、お客様に特別な瞬間と体験を届けていく」と、未来のベントレー像についてもアピールした。

◆ベンテイガで新たなラグジュアリーSUV市場を開拓した

続けてステージには、ベントレーモーターズジャパンの代表取締役・牛尾裕幸氏が登壇した。

「ベントレーの最高経営責任者が、日本のイベント用にビデオメッセージを送ってくれたのは初めてだ。これは日本のマーケットに対するにベントレーの電動化へのコミットメントだと理解している。またシンガポールからは、ニコ・クールマンがビデオメッセージを送ってくれた。これは日本のマーケットの重要性や、期待の大きさを表わすものだと理解している」と期待度の高さをアピール。

販売実績については、順調に売り上げを伸ばしているという。

「今年の1〜9月の販売実績は大変好調で、前年同月比プラス44%といった実績だ。この数字をけん引したおもな要因は、ベンテイガの好調さにある。新型ベンテイガV8モデル、W12モデルを加えたベンテイガシリーズの全体の販売に占める割合は40%を超え、このシリーズがベントレーにとっていかに重要かがわかっていただけると思う。ベントレーはベンテイガで新たなラグジュアリーSUV市場を開拓すると宣言していたが、その宣言とおりの結果となった」

「グローバルでは2013年から8年連続で1万台以上の販売を継続。去年はコロナ禍にもかかわらず、過去最高となる1万1200台強の販売を達成。日本でも過去10年間順調に販売台数を増やし、2019年には過去最高となる522台を販売した。昨年度はコロナ禍で英国本社工場の停止などの影響を受けたが、本年度に関してはベントレーモータージャパンとしては過去最高となる600台以上の販売を期待している」

そして今後の予定については、「今回発表したベンテイガハイブリット、そして来年以降に、すでに発表されているフライングスパーハイブリットの導入がある。ベンテイガシリーズを完成させる4つ目のモデルと、ベントレーの電動化戦略を訴求するモデルはしっかりとお客様に届けていきたい」と述べる。

「ディーラーネットワークに関しては、ベントレー札幌が来年2022年第1四半期に改装オープンし、ベントレー大阪は御堂筋にある現在のショールームにほど近い場所に、本年12月移転オープンする。このベントレー大阪は、日本のベントレーディーラーの中で最大規模のショールーム面積となる。新たなショールームでより多くのお客様にお越しいただき、ベントレーの世界観を味わっていただきたいと思っている。そして好調な新車販売に加え、中古車やアフターセールス活動などもより一層強化し、これまで以上にお客様満足度向上に尽力していく」

◆ベントレーは持続可能な未来にふさわしいクルマ

またおもしろい情報も公開された。ベントレー本社が先代のベントレーハイブリッドのオーナーにアンケートを取った際の、調査結果だ。

「ユーザーのじつに90%以上が、ほぼ毎日または週に数日間運転しており、ほぼすべてのユーザーがEVモード=電気だけでの走行モードを利用しているとわかった。またEVモードを使用しているユーザーの約半数は、普段の走行距離が30マイル未満であることが判明している。つまりこの車は、日常ユースの大半を電気だけのゼロエミッション走行でまかなうことができ、環境に優しいということだけでなく、ベントレーは持続可能な未来にふさわしいクルマであるという、新たな価値観をお客様に提供できる」

既存のベントレーオーナーにもアンケートをとった。「44%がベントレーの電動車に興味があると回答した。ということは、電動化の始まりとなるベンテイガハイブリッドは、我々のビジネスのゲームチェンジャーとなる日も近いと期待している」。

◆2023年までに全ラインアップにハイブリッドを設定し、2030年にはBEVのみとなる

ベントレーモーターズジャパン マーケティング&コミュニケーションマネージャー 横倉典氏が登壇。ベントレーの歴史や取り組み、ベンテイガハイブリッドの紹介が行われた。

ベントレーは、1918年創業だが、車を製造したのは1921年とのことで、ちょうど100年目にあたる。そして1921年9月21日に、3リットルの最初のモデル(シャシーNo.3、エンジンNo.4)がNoel van Raalte氏に納車されたのが最初の車だとのこと。

ベントレーは「BEYOND100」とネーミングされた戦略目標を掲げており、それによると、2030年までにエンドツーエンドにおけるカーボンニュートラルの達成を目指す。また、電動化への加速を進めており、2023年までに全ラインアップにハイブリッドを導入し、2025年にはベントレー初のピュアEVモデルの発売。2026年にはラインアップのすべてがPHEVとBEV、2030年には全ラインアップがBEVのみとなる。
サステナビリティの取り組みもかなり進んでおり、英国最大のサーラーカーポートを設置し、すべての工場で使用する電力が、太陽光発電または認証済みグリーンエネルギーとのこと。雨水を浄化して使用したり、排水から純粋を生成したりと、水については年間35万リットルの水を再生産している。

ベンテイガハイブリッドについては、初代モデルが2019年9月に発売され、今回発売されるモデルは2代目となる。ベンテイガディーゼル、ベンテイガマリナー、ベンテイガV8、ベンテイガスピード、ベンテイガSなどベンテイガシリーズは充実したラインナップとなっている。ベンテイガだけでなく、来年の夏頃にはフライングスパーのハイブリッドモデルも日本に投入していく予定だ。

ベンテイガハイブリッドはエクステリアがほぼベンテイガV8と同じで、ハイブリッドのバッジが付くか付かないかくらいしか差が無い。内装については、ハイブリッドになったためバッテリーへの充電容量や、回生状況などを表示するインフォテイメントスクリーンの搭載。エンジン回転数を表示していたタコメーター部分には、EVモードで走行しているのか、エンジンが作動しているのかなどを表示するドライバーインフォメーションパネルが設置されている。また充電ポートのカバーを開ける、フューエルフィラーカバーリリースボタンが、運転席ドアに設置されている。ガソリン投入部分のカバーは、一般的な車と同じように、カバーを手で押すことでオープンできる。

ベンテイガハイブリッドになってベンテイガV8から無くなった装備も存在する。オフロード走行の設定であるオールテレインスペシフィケーションや、カーボンセラミックブレーキは設定されず、オプションのけん引バーについては取り付けられない。

エンジン、モーター関連については、Sport、Bentley、Comfort、Custumの4つのオンロード向けドライブダイナミクスモードが標準装備され、アクセルペダルはペダルストロークのプレッシャーポイントを超えてペダルを踏み込まなければ、電動のみでの走行距離を最大化できる仕様となっている。バッテリーは17.3kWhの容量を持ち、168個のセルで構成される高効率のリチウムイオンバッテリーを搭載。エンジンは3.0リットルV6ツインターボエンジンを搭載し、エンジン単体で最高出力は340PS。Eモーターは最大128PSを発生し、8速トランスミッションと一列に並んで組み込まれている。

ベンテイガハイブリッドのパフォーマンスは、0-100km/hが5.5秒、最高速度が254km/h。CO2排出量は83g/km、走行レンジは863kmとなっている。

CEOのエイドリアン・ホールマーク氏。《写真撮影 関口敬文》 ベントレーモーターズ APAC リージョナルダイレクター、ニコ・クールマン氏。《写真撮影 関口敬文》 ベントレーモーターズジャパンの代表取締役・牛尾裕幸氏。《写真撮影 関口敬文》 ベントレーモーターズジャパン マーケティング&コミュニケーションマネージャー 横倉典氏。《写真撮影 関口敬文》 アンベールされたベンテイガハイブリッド。《写真撮影 関口敬文》 ベンテイガがシェアトップに。《写真撮影 関口敬文》 200Vでの充電時は、約2時間45分でフル充電が可能。《写真撮影 関口敬文》 各ディーラーにてイベントも開催予定。《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 12V電源も用意されている。《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 運転席の扉の下部にフューエルフィラーカバーリリースボタンがある。《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 後部座席にUSB-Cポートが設置されている。《写真撮影 関口敬文》 後方左側に充電ポートを装備。《写真撮影 関口敬文》 後方右側はガソリン投入口がある。《写真撮影 関口敬文》 ウォールボックスは無償オプション。家庭用充電ユニットを収納できる。《写真撮影 関口敬文》 19台製造されたうち、ワクイミュージアム所蔵の1台がステージ上に展示されていた。《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 当然だが、運転席は至ってシンプル。《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 ベントレー・ベンテイガ・ハイブリッド《写真撮影 関口敬文》 3リッターを生産中の様子。《写真撮影 関口敬文》