しゅっとした顔になった『ゴルフ』。急に洒落こんで垢ぬけたと思ったら、インテリアはさらにとんでもないことになっていた。デジタル化の波はゴルフにも押し寄せ、一気に飲み込んでいたのである。
すっきりしすぎるほど簡素化されたセンターコンソール。これまでどこのメーカーも、存在感を示すようにスタートスイッチは丸く仕立てていたのに、今回は四角にデザインされてほかの操作系パーツと足並みをそろえるように一列に並べられている。縦に並んだそれらの中央には、申し訳なさそうに頭をちょこんと出したシフトレバー。出っ張っちゃってごめんなさいねと言わんばかりだ。
ヘッドライトのオンオフも、ちょいっとタッチするように操作するし、エアコンもすべてタッチ式。指ですいすいとなでるように操作するやり方は、うまくはまればいいけれど、慣れない試乗車では空振りすることも多い。
使いこなせずかっこ悪い自分に苦笑してしまうものの(オーナーになれば、きっと大丈夫)、ただ、このインテリアに囲まれていると、アナログ世代の私でも急にアップデートできた気分になる。いい道具は人を成長させてくれるのだ。
走りも期待を裏切らない。今回は、1.5リットルのeTSIエンジンに試乗したのだが、モーターがアシストする発進はなめらかで、絶妙な力強さで加速していく。アイドリングストップからの再始動も楚々としてこなし、なんだこの華麗な身のこなしはと思わざるを得ない。
そして足。路面のギャップを乗り越えても見事に吸収してなにごともなかったかのように走っていく。ゴルフがこんなにしなやかでいいのか。ドイツの大衆車は質実剛健が売りではなかったのか?
ゴルフという名前がついていなかったら、すでに別次元のクルマだといえる。ゴルフは色気がなくてちょっとねえと思っていた人も、これなら納得するはずである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。
【VW ゴルフ 新型試乗】いい道具は人を成長させてくれるのだ…岩貞るみこ
2021年07月23日(金) 12時00分
関連ニュース
- 実はハッチバックから登場した初代『アコード』、セダンが見せた「現実的な雰囲気」【懐かしのカーカタログ】 (03月17日 15時00分)
- MINI ハッチバック 新型、生産開始---内燃エンジン車がラインオフ (03月13日 10時30分)
- MINI ハッチバック 新型のEV、「ゴーカートフィーリング」は全天候型 (01月26日 08時30分)
- MINI ハッチバック 新型のEV、「JCW」仕様登場…内外装をスポーティに (12月07日 11時00分)
- 内燃機関MINIは生き続ける…ハッチバック&カブリオレ、改良新型をダブルスクープ (10月19日 19時30分)