1日、UDトラックスが自動運転にもつながる技術として「UDアクティブステアリング」を同社の大型トラック『クオン』に搭載したことを発表した。そのデモ映像として、トラックによる世界最大の書道を披露した。
UDトラックスは、4月にいすゞのグループ傘下になっているが、それまでボルボトラックスと資本・業務提携をしており、現在もお互いの技術交換を積極的に行っている。UDアクティブステアリングもそのひとつで、ベースとなる技術とコンポーネントはボルボが2013年に発表しているVDS(Volvo Dynamic Steering)と同じだが、細かいチューニングが施された最新バージョンといってよい。
詳細は後述するが、UDトラックスではクオンにこの技術を搭載するにあたって、その制御精度を示すデモンストレーションとして、書道家鈴木曉昇氏にクオンで書道をしてもらうという動画を公開した。
クオンのトレーラーヘッドには弾道ミサイルのランチャーのような大筒が筆として取り付けられている。UDアクティブステアリングは、いわゆるフライバイワイヤー制御のステアリングシステムだ。ハンドルと操舵装置の間に機械的なリンクはなく、制御信号のワイヤーだけでつながっている。同様な機構は新しいものではないが、制御精度が高く走行中は常に介入制御が働いている。
制御のためのセンシング(入力信号)は、ステアリングの舵角や車速だけ(通常のパワーステアリングやフライバイワイヤー式ステアリング機構)でなく、ステアリングトルク、車速、エンジン回転数、ヨーレートセンサー(加速度センサー)を使っている。これにより、ドライバーは路面の凹凸やうねりによる細かい修正操舵をせずとも安定した走行を実現できる。実験動画では、トラックキャビンが大きく揺れるような凹凸の上でハンドル操作なし(手放し)でも、UDアクティブステアリング搭載クオンはまっすぐ進むことができる。
1日500km平均で走行する大型トラック運転手にとって、無意識に行う修正操舵のストレスが軽減されることは大きい。
低速走行、後退時、車庫入れ、右左折での操舵もアシストする。ボルボトラックスのVDSとの最大の違いは、この細かい操作のチューニングにある。日本は、欧州より一般道での走行シチュエーションが高く、カーブや屈曲路、駐車や後退での接車が難しいバースも多い。サスペンションの設計も異なるため、ハードウェアモジュールが同じでもソフトウェアのチューニングは全く異なる。
なお、ボルボトラックスはVDSのデモ動画として、回し車を使ってハムスターにハンドル操作をさせるものや並走するトラックの間の綱渡りパフォーマンスを公開している。UDトラックスは日本独自のチューニング精度を示すため、書道家の筆遣いのイメージをトレースできるトラックを実証した。
※2021年7月5日訂正:UDアクティブステアリングの制御にカメラは利用していません。公開当初カメラを使っている記述がありましたが削除しました。※
トラックで世界最大の書道…繊細な筆遣いを再現するUDアクティブステアリング
2021年07月02日(金) 08時30分
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