アメリカを感じさせる大胆なドヤ顔である。それが嫌味にならず絶妙なバランスで品よくまとまっているのは、うまいなあと思う。
迫力のある顔つきと広がり感のあるスタイルで大きく見えるけれど、全長は4330mmと控えめ。横幅も1790mmと、1800mm越えが当たり前になりつつあるSUVのなかにあって膨らませることを思いとどまった判断はうれしい。
全長は旧型と同じだけれど、後席の膝もとは35mm広くなっている。その後席、天井がやや窮屈か?と思うけれど(私の身長は170cm。座高は不明)、全高を1590mmに抑え、かつ、最低地上高を195mm(「Z」のFF)しっかり確保し、ラフロードを走っても腹打ちしにくくしたことを考えると上出来だと思う。
街乗りとロングドライブの両立を期待されるヴェセルに於いて、「e:HEV」は最高の武器だろう。モーターとエンジンのハイブリッドは、まず燃費がよくてロングドライブ向き。そして、ハイブリッドにありがちな「今モーターからエンジンに替わりましたよ」となんとなく伝わってくる違和感が極めて少ないないうえ、アクセルもブレーキも操作感が自然なので、ストップ&ゴーが多い街中走行でも心の疲労感がないのだ。
ボディサイズから、もっとひらひらしたハンドル感を想像したいたのだが、手応えはかなりしっかりしている。コーナーを攻めるように走らなくても、高速道路上でちょいっとハンドルを切っただけで安心感が伝わってくる。ボディ剛性が高いことも、この安心感を生み出す要素なのだろう。
この派手なドヤ顔のクルマ、私世代の女性はちょっと乗りにくいわ……と最初は思っていたけれど、サイズも乗り心地もしっくりなじむ。試乗が終わるころには、「あり」と思わされていて、なんだかちょっと悔しい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。
【ホンダ ヴェゼル 新型試乗】派手なドヤ顔も「あり」と思わされる…岩貞るみこ
2021年07月01日(木) 21時00分
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