「私の過失はない」。往生際が悪い被告に対して、妻子を亡くした遺族が驚き、怒りを感じて、むなしい気持になるのは当然だろう。
東京・池袋で2年前の2019年4月、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告が運転する乗用車『プリウス』が暴走し、2人が死亡、9人が負傷した事故。その2回目の被告人質問が東京地裁で行われ、遺族の質問で、ブレーキと間違えてアクセルを踏んだ可能性について言及すると「踏み間違いはない」と「車の不具合」を繰り返し、改めて無罪を主張したという。
きょうの各紙も「遺族質問に『過失ない』無罪主張変えず」(読売)、「遺族、むなしい気持、被告『車の不具合』繰り返す」(毎日)などの見出しで公判での様子を報じている。
産経は社会面のトップ記事で「人として信じられない。夫の拓也さん妻の指輪忍ばせ対峙」「真実述べてほしい…思いは破れた」とのタイトルで、事故で妻の真菜さん(当時31歳)と長女莉子ちゃん(同3歳)を亡くした松永拓也さんらの質問と飯塚被告とのやり取りを詳しく取り上げている。
このうち、真菜さんの父、上原義教さんが被告人質問で「立派な仕事をして生きてきたのに、自分の過ちを認めないのか」と訴えると、飯塚被告は「自分が車を出さなければ事故は起きず、2人の命は大丈夫だった」と答えたそうだ。車両の技術的な欠陥が事故につながったような主張を繰り返したという。
一方、被告が乗っていたプリウスを製造したトヨタ自動車は「被告は車両に技術的な欠陥があると主張しているが、調査の結果、車両に異常や技術的な問題は認められなかった」とするコメントを発表。
暴走したプリウスには走行時のデータを記録する仕組みがあり、今回の事故でも残っていたという。トヨタは捜査当局の要請に基づいて事故を起こした車両の調査に協力したが、この事故に関してトヨタがコメントを出すのは初めてとも伝えている。
2021年6月22日付
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池袋暴走の被告「過失はない」と改めて無罪主張、トヨタ「車両に異常なし」と反論[新聞ウォッチ]
2021年06月22日(火) 08時47分
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