ポルシェ・カイエン・クーペ の新たな高性能モデルのプロトタイプ《photo by Porsche》

ポルシェ(Porsche)は6月17日、『カイエン・クーペ』に設定される予定の新たな高性能モデルのプロトタイプが、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースで7分38秒925を計測し、SUV最速と認定された、と発表した。

◆『カイエン・ターボ・クーペ』がベース

現在最終テストが行われているカイエン・クーペの新たな高性能モデルでは、ポルシェは、クラス最高のパフォーマンスをさらに強調することを目指している。この高性能モデルで重視されているのは、運転の快適さと日常の使いやすさを犠牲にすることなく、並外れたオンロードパフォーマンスを実現することにあるという。『カイエン・ターボ・クーペ』をベースに、縦方向と横方向のダイナミクスを強化するために、開発が進められている。

「ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロールシステム(PDCC)」など、すべてのシャシーと制御システムが強化される。これにより、パフォーマンス指向のセットアップを施しても、安定したハンドリング性能を実現しているという。

全面的に改良されたフロントアクスルによって、ハンドリングも改善されている。ベース車両のカイエン・ターボ・クーペと比較して、フロントホイールは0.5インチ大きくなり、ネガティブキャンバーは0.45度増加。22インチのスポーツタイヤは専用開発された。

◆アウディ『RS Q8』の記録を3秒以上短縮

ポルシェは、このカイエン・クーペに設定される予定の新たな高性能モデルのプロトタイプをドイツ・ニュルブルクリンク北コースに持ち込み、タイムアタックを行った。ポルシェのテストドライバー、ラーズ・カーン氏がタイムアタックを担当した。ニュルブルクリンク北コースは1周20.8km、コーナー数73という世界で最も厳しいサーキットとして知られる。自動車メーカーが、開発テストを行う場所としても有名だ。

軽くカモフラージュされたプロトタイプは、シリーズプロダクションモデル。ただし、ドライバーを保護するために、レーシングシートとロールケージが装備された。タイヤは、このモデルのために特別に開発された22インチのピレリ「Pゼロコルサ」で、市販版にも標準装備される予定だ。

タイムアタック時の外気温は23度、路面温度は46度。ラーズ・カーン氏によるタイムアタックは、7分38秒925を計測した。このタイムが、「Nurburgring GmbH」の公式タイムアタックランキングにおいて、「SUV、オフロード車、バン、ピックアップ」カテゴリーの新記録になると、公証人によって認定された。従来は、アウディ『RS Q8』が2019年秋に打ち立てた7分42秒253が最速記録。今回、この記録を3秒以上短縮した。

◆4.0リットルV8ツインターボは最大出力550psを超える見通し

ポルシェのテストドライバー、ラーズ・カーン氏は、「その高いステアリング精度とストイックに安定したリアアクスルは、タイムアタックの際、大きな自信を与えてくれた」と語り、SUV新記録達成を振り返った。

なお、現行カイエン・クーペの内燃エンジン搭載車の最強グレードがカイエン・ターボ・クーペだ。同グレードには、4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを搭載する。最大出力は550ps/5750〜6000rpm、最大トルクは78.5kgm/2000〜4500rpmを引き出す。トランスミッションは、8速「ティプトロニックS」だ。0〜100km/h加速は3.9秒、最高速は286km/hのパフォーマンスを実現している。

新たな高性能モデルは、このカイエン・ターボ・クーペを上回る性能を備えていると見られる。なお、ポルシェは間もなく、この新モデルのワールドプレミアを行う予定、としている。

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