マツダ MX-30《写真撮影 中野英幸》

◆観音開きのメリット、デメリット

評価の分かれる観音開きである。前後のドアを開ければ大きな間口が登場する一方、前のドアを開けないと後ろのドアが開かない。この特徴をデメリットととるかメリットととるかは、使う人次第である。

デメリットとしては、やはり面倒。後席に座ったときは、前席のドアを開けてもらわないと出られないということ。


メリットは、上記とは逆に自由に出入りしてもらったら困るような、小さなお子さんを載せる場合。乗り降りは保護者が必ずアシストする幼児はもちろん、チャイルドシートに座らせるときも、大きく開く観音ドアは超便利だ。

さらにメリットでいうと、一人で使うときに後席にカバンやコートを載せて……という場面も、観音開きは使いやすい。シングル〜幼児の子持ちくらいまでの世代には、使いこなすほどに使いやすく感じる機能だと思う。そういう世代に向けるなら、“観音開き”なんて使い古された呼び方じゃなく、“フレンチドア”って呼べばよかったのに。冷蔵庫では聞きなれた“フレンチドア”、クルマでも広めてほしかったな。

◆美意識の高い人に乗っていただきたい


『MX-30』は、止まっている状態だとわかりにくいけれど、ドアはフレンチドアだし(意地になってこう書く)、インテリアが斬新な作りで、乗った人だけが感じられる特別感があふれている。コルク基調のセンターコンソール部分はその質感にわくわくするし、立体的なデザインもほかでは見ない作りである。

私が気に入っているのはステアリングのデザイン。センターから左右に細く伸びた部分を黒とシルバーのツートーンにすることで、ステアリング自体がすらりとしなやかに見えること。

実のところシルバーの部分にある操作スイッチは、私のドラポジだと全面的にテカっていてなんのスイッチかよくわからない。手をかざして少し暗くすると、陰影ができてなにがあるのかがわかる程度である。


機能として、これでいいのか? 最初はそう感じたものの、時間がたつにつれこれが絶妙にいい具合だということに気づく。というのも、シルバー部分のスイッチは電話応答など、運転中はブラインドタッチで十分なものや使用頻度の低いものなので、いちいち見る必要がないのだ。

つまり、ステアリング上にあるスイッチが全部、「ここにある!」と主張しているわけではないので、必要なものだけが目立って見える。情報が埋もれないようにする工夫だともいえる。

ボディサイズはコンパクトで使いやすく、マイルドハイブリッドは、赤信号でエンジンストップしているときからの再始動がとても滑らか。このクルマ、美意識の高い人にぜひ乗っていただきたい。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

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