ヤマハ シグナスX《写真撮影 雪岡直樹》

ヤマハの原付2種スクーター『シグナスX』で、都会をスイスイ快走。いつも行っている場所へ、公共交通機関を使って行くより速いし、そして断然気持ちがいい!

『シグナスX』は「バイクっていいな」と気になっている人にオススメできる。そのポイントを解説しよう。

◆1ランク上がオススメな理由


三密を避ける移動手段としても、いま注目されているバイク。なかでも原付2種クラスは、幅広い層に人気がある。クルマの免許を持っていれば、教習時限数は最短9時間で卒業検定を含めて3日でOK。これまでバイクと無縁だった人でもエントリーしやすい。

原付1種じゃダメなの……? と思う人もいるかもしれない。決してダメではないが、2種になった途端に法定最高速度60km/h、二人乗りOK、交差点ではクルマと同じ右折方法(二段階右折不要)で曲がることができ、それでいて自賠責保険は原付(50cc)スクーターと同額。選ばれる理由がたくさんある。

大人になってから乗るのはなぁ……。といった意見も聞こえてきそうだが、そんなアナタには1ランク上のモデルがオススメ。ヤマハの『シグナスX』はスポーティで躍動的なスタイルに、LED3灯ヘッドライトや液晶マルチファンクションメーターパネルを備え、街で見かけても、ご近所の人が見ても、家族にも「カッコイイ!」と思ってもらえること間違いなし!



◆安定感があり小回りも効く前後12インチの足まわり

全体的に立派で少し大きく見えるのは、前後ホイールが12インチであることも貢献している。混雑した都会を走るのに取り回しに優れるうえ、クルマの流れに乗って速度を上げてもエンジンに余裕があり、車体も安定感がある。

ヤマハの125ccスクーターだけでも、『シグナスX』(33万5500円)の他に『アクシスZ』(24万7500円)、『NMAX』(35万7500円)、『トリシティ125/ABS』(42万3500円/46万2000円)とあり、どれもデザインが違うだけで大きく変わらないのかと思いきや、ハンドリングや走りに大きな違いの出る足まわりがそれぞれ異なり、用途によって選べるようになっている。


『アクシスZ』は前後10インチで、ざっくりと言うなら50ccスクーターと同じで見た目にもこじんまりとしている。『NMAX』は前後13インチで安定感や高級感があり、ちょっと贅沢な仕様。『トリシティ125/ABS』はなんと3輪。

足がつくのか、そして重さはどうなのかってところも気になるところだが、ヤマハの原付2種スクーターはどれもシート高が低く抑えられ、座席の形状も先端を絞り込ませるなど足つき性に優れる上、軽量化も追求されてきたおかげで車体も軽くなっているのだ。

■シート高と車体重量
シグナスX:770mm、119kg
アクシスZ:770mm、100kg
NMAX:765mm、127kg
トリシティ125/ABS:765mm、159/164kg

◆余裕ある走りをもたらす4バルブエンジン


肝心なエンジンはどうだろうか。クリーンで燃費性能に優れる4ストローク単気筒エンジンだが、下記に示したとおりそれぞれ別のパワーユニットを積んでいて、馬力や燃料消費率(WMTCモード値)も異なる。

■搭載エンジンと最高出力
シグナスX:空冷SOHC4バルブ、9.8ps/6500rpm
アクシスZ:空冷SOHC2バルブ、8.2ps/6500rpm
NMAX:水冷SOHC4バルブ、12ps/7500rpm
トリシティ125/ABS:水冷SOHC4バルブ、12ps/7500rpm

乗り比べると、『シグナスX』が搭載する4バルブはエンジンを引っ張り上げた高回転域まで力強く、幹線道路でスピードが上がっても余裕を感じる。じつはスクーターレースもあり、その第一線でも活躍できる高いポテンシャルを備えているのも『シグナスX』の魅力。そんなに飛ばさないよって人にも、運動性能の高さがプラスアルファのゆとりをもたらしてくれる。

運動性能の高さにはしっかりと停まるってことも含まれていて、ブレーキはフロントに245mm径ウェーブディスク、リアには200mm径のディスクブレーキが装備され、コントロール性や制動力に優れる。じつは現行型の前はリアブレーキが機会式ドラムで、最新式の油圧ディスクは微妙なペダル入力での効き方など思い通りに操ることができる。


積載力も高く、シート下トランクは容量約29リットルとたっぷり広々。給油もしやすくフロントまわりに給油口があり、しかもSFチックにキャップの質感が良く見た目にいい。フロントポケットには500mlのペットボトル、さらにスマートフォンなども入れておけ、12VのDCジャックも付いているから充電だってできてしまう。

実際、都内の移動に原付2種スクーターを利用することが多い筆者だが、移動する度にスマートフォンを充電できるのはかなり便利で、モバイルバッテリーを持つ煩わしさから解放され、コンセント難民になることもない。また、クルマより圧倒的に少ない燃料消費で、いつでも充電可能なのは災害時などにもありがたいと感じている。

家族や友人が後ろに乗ってみたいと言っても、後部シートとパッセンジャー用のステップがあり、日常の足として、休日の近場ツーリングに、フル稼働間違いなしだ。



■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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