日産 ノート《写真撮影  内田俊一》

日産『ノート』はエクステリア同様、インテリアにおいても日産のデザインランゲージ、タイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズムが取り入れられているという。そこでチーフデザイナーに具体的ポイントなどについて話を聞いた。

◆快適にストレスなく過ごせるインテリア

----:ノートのエクステリアデザインに、タイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズムが取り入れられています。日本人の美徳ともいえる引き算の美学でデザインされましたが、これをインテリアに取り入れるのは難しいようにも感じますがいかがですか。

日産グローバルデザイン本部プログラムデザインダイレクターの入江慎一郎さん(以下敬称略):そうでもありません。これは考え方ひとつだと思うのですが、インテリアデザインには建築とか家のリビングなどの要素、つまりクルマというプロダクトではない要素を取り入れ、インスピレーションを持ち込もうとしています。先代は、形の色々な動きや面の抑揚でインパネやドアトリム、センターコンソール、シートを作るなど、いわば造形美、形で遊ぶデザインだったと思います。

しかしこれからは、どちらかというといかに快適に、その中でいかにストレスなく過ごせるか、そういうインテリアを目指そうと思っています。それにはインパネのデザインをねじれ曲がったような抑揚を出さずに、いや逆に出さないほうがいいでしょう。今回ノートのインテリアで取り組んだのは、まさにそういうところで、どれだけコンパクトながらも見た目の広さ感として、左右に広がる空間を作れるか。そしてその中にしつらえの良い装飾を入れて、しかもそれがストレスなく、邪魔にならずにきちんとあるべきところに収まっているようにしています。

また、今回モノリスと呼んでいる、メーターとセンターディスプレイが一体になった先進的なインターフェイスがメインにあり、バイザーレスでまるでiPhoneやiPadのように置かれていることなど、色々な要素を建築のように無駄なく節度のある構成の中で作り込んでいくという考え方にシフトしています。

----:インテリアをそこまで作り込むと堅苦しさや、寂しすぎるような世界観が出てきそうな気もします。その辺りはどのように塩梅しているのでしょうか。

入江:インテリアもワクワクしなければ面白くないので、『アリア』でも発表したセンターディスプレイとメーターが一体化している、いままで見たこともないような先進的なアイテム、モノリスを入れました。これによって使い勝手も良くなりますし、見た目のフィーリングも未来的でワクワクするといったアイテムを散りばめながらうまく情緒感、人の気持ちを楽しませるアイディアを入れ込んでいます。

◆e-POWERの走りに違和感のないインテリアを目指して

----:アリアの室内照明は行灯風に仕上げていますが、ノートではこういった日本風なアレンジはしていますか。

入江:行灯ではありませんが、ドアトリムのスピーカーグリルのパターンは日本の様式美みたいなものを取り入れています。また、シートのパターンもそうです。今回はセンターストライプを入れて左右にグラデーションをかけているのですが、そういった優しい雰囲気、建築美のようなカチッとした雰囲気の中に、そういったちょっとしたエモーショナルな要素を入れることによって、気持ちがやわらぐとかいうところにつなげています。

----:そうすると、エクステリア同様インテリアもかなりいままでとは違う作り方をしているということですか。

入江:そうです。全く違う作り方を取り入れて、今後の日産は向かっていこうと思っています。思想を変えたのです。

----:アリア以降デザインの考え方を変えてきていますので、それに基づくと当然ノートのデザインもこれまでとは変わってくるわけですね。

入江:そうですね。クルマですから走った時のフィーリングがあります。今回は特にe-POWER一本に絞っていますので、ガソリンでは味わえない走り、まさに電気で走っている走り方と、見た目や、室内に座った感じとの一体感、違和感のなさを出来るだけ作り込みました。テイストも含めてデザインもそこに寄与していこうとしているのがこれからの日産のインテリアの作り方であり、エクステリアの造形の仕方だと思っています。

ですので、実際に乗ってみるとこのインテリアがこうなった理由というのが本当によく分かると思います。お客様にもぜひ運転してもらいたいですね。そうすると全てが一本の線でつながってくるでしょう。ようやく人馬一体ではありませんが全てがハーモナイズされたクルマが出せました。

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