2014年のルマン24時間レースを制した、当時のアウディ2号車(アウディ13回目のルマン総合優勝)。《写真提供 Audi》

ラリーレイドの最高峰「ダカールラリー」の2022年大会にファクトリーレベルの関与をもって参戦するプランを発表したアウディ。その他にも同社のモータースポーツに関する発表がいくつかあり、ルマン24時間レースへの“帰還”も視野に入っていることが明らかになっている。

アウディがファクトリーレベルの活動として2022年のダカールラリー参戦をプランニングしていることを発表したのは2020年11月30日。この日、アウディは今後のモータースポーツに関しての指針等も重ねて発表している。

まず人事面だが、この12月からファクトリーおよびカスタマーの両レベルにおけるアウディの国際的モータースポーツ活動を代表する人物が、前任者のD. ガスからアウディスポーツGmbHのマネージングディレクターであるJ. シーバッハに代わる。そして、アウディにとってGT3カー等の市販供給や参戦チーム支援によるカスタマーレーシングが引き続き重要な活動であることが、あらためて強調された。

一方でフォーミュラEに関しては、現在のファクトリーレベルでの活動は2021年1月開幕予定のシーズンをもって終了するとのこと(カスタマーによるアウディ製パワートレインの継続使用はその後も可能という)。これは成果と熟成を考慮してのファクトリー活動休止と見るべき動きだろう。そして、フォーミュラEに続く新たなファクトリーレベルの関与活動としてダカール案件が入る、という言い方もされている。

さらには、「欧」と「米」の双方でトップカテゴリーの規定再編が(複雑に)進んでいる“スポーツプロトタイプ耐久レース”のフィールドに、新LMDh規定での参入を視野に入れて「準備をしている」旨にシーバッハは言及。規定再編の動きや実状次第というところもあるが、ルマン24時間やデイトナ24時間の最前線でアウディが勇躍する日の到来が期待される。

アウディは2016年シーズンを最後にルマンを中心とするWEC(世界耐久選手権)のトップカテゴリーからは撤退した。アウディはルマンで2000年の初制覇以降に計13回の総合優勝を飾っており、その間、2012年にはハイブリッドレーシングカーによる初のルマン総合優勝も達成したメーカーである。

いずれにしても、アウディのモータースポーツ活動はすべて、顧客やファンの期待に応えつつ、電動化やカーボンニュートラルといった環境方面への貢献も強く意識したなかで展開されていくことになる。

アウディのモータースポーツを代表する立場の人物は、D.ガス(左)からJ.シーバッハ(右)に代わる。《写真提供 Audi》 2020年12月の「キャラミ9時間」(南ア)に参戦するアウディのマシンたち(R8 LMS)。《写真提供 Audi》 2021年1月開幕予定とされるフォーミュラEの次シーズンを戦うマシン「Audi e-tron FE07」。《写真提供 Audi》 アウディは2022年のダカールラリーに参戦する(ティザー画像)。《写真提供 Audi》