ポルシェ・タイカン・ターボS《photo by Porsche》

元F1世界チャンピオンのニコ・ロズベルグ氏は11月7日、ポルシェ初の量産EVスポーツカーの『タイカン』(Porsche Taycan)を、ドイツ・ニュルブルクリンク・サーキットでテストした際の映像を公開した。

◆0〜100km/h加速2.8秒で最高速260m/h

タイカンは4ドア、4セパレートシートを備えた新世代のEVスポーツカーだ。2019年9月のデビューからおよそ1年を経て登場した最新の2021年モデルでは、最上位グレードの「ターボS」がパフォーマンスを引き上げた。

タイカンは、非常に効率的な電気モーターを、フロントアクスルとリアアクスルに1基ずつ搭載し、4輪を駆動する。電気モーター、トランスミッション、パルス制御インバーターは、コンパクトなドライブモジュールに一体設計された。

リアアクスルに搭載される2速トランスミッションは、ポルシェが新開発した。1速は静止状態からの発進時に、鋭い加速を可能にする。ロングレシオの2速は、高い効率と同時に、高いエネルギー残量を追求する。2速は、高速走行時にも適用される。

ターボSは、ローンチコントロールとの組み合わせで、最大761psのオーバーブースト出力を発生する。2021年モデルでは、加速性能が引き上げられた。0〜200 km/h加速は9.6秒で駆け抜け、従来よりも0.2秒の短縮を果たす。0〜400m加速も10.7秒と、従来の10.8秒に対して、0.1秒速くなった。0〜100km/h加速は2.8秒、最高速は260m/hだ。

◆航続は最大450km

タイカンの電圧は、通常のEVの400Vではなく、800Vのシステム電圧を備えた初の市販車となる。これにより、高出力充電ネットワークの直流(DC)を使って、およそ5分で最大100kmの航続に必要な電力を充電できる。パフォーマンスバッテリー+リチウムイオンバッテリーの蓄電容量は、最大93kWh。バッテリー容量を80%まで充電するのに必要な時間は、出力270kWの急速チャージャーで22分30秒だ。自宅などでは、最大11kWの交流(AC)で充電できる。1回の充電での航続は、ターボSが最大412km、「ターボ」が450km(WLTPに準拠)となる。

ドライビングモードは、「レンジ」、「ノーマル」、「スポーツ」、「スポーツプラス」の4種類だ。加えて、「インディビジュアル」モードでは、個々のシステムを必要に応じて設定できる。

ポルシェ4D シャシーコントロールは、全てのシャシーシステムをリアルタイムで分析し、同期させる。シャシーシステムには、「PASM」(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメントシステム)電子制御ダンパーコントロールを含む3チャンバーテクノロジーを採用したアダプティブエアサスペンション、「PTV Plus」(ポルシェ・トルク・ベクトリング・プラス)を含む「PDCC Sport」(ポルシェ・ダイナミック・シャシー・コントロール・スポーツ)、電気機械式ロール抑制システムが含まれる。また、日常走行でのブレーキ操作のおよそ90%が、油圧式ホイールブレーキを作動させることなく、電気モーターのみによって行われる。

◆F1引退後はEVの普及を支援する活動に取り組んでいるロズベルグ氏

ニコ・ロズベルグ氏は、このポルシェタイカンのターボSを、ドイツ・ニュルブルクリンク・サーキットでテストした際の映像を公開した。ロズベルグ氏はF1引退後、グリーンテックフェスティバルを設立した。EVに搭載可能な将来のテクノロジーを開発している企業に、多くの投資を行い、EVの普及を支援する活動に取り組んでいる。

ロズベルグ氏の活動の一環として今回、ポルシェタイカンのターボSに、ドイツ・ニュルブルクリンク・サーキットで試乗することが実現した。ホットラップやドリフトを楽しんだロズベルグ氏は、「モビリティの未来を見るのは、とても素晴らしい経験。タイカンの加速やスピードは驚異的で、運転するのが本当に楽しい」と語っている。

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