スズキ・エスプレッソ(インド仕様)《photo by Suzuki》

スズキが8月3日に電話会議で発表した2021年3月期の第1四半期(4〜6月期)連結決算は、営業利益が前年同期比98%減の13億円と、大幅な減益になった。新型コロナウイルスの影響で、主力のインドでの販売が激減した。通期予想は引き続き未定とした。

第1四半期の四輪車グローバル販売は64%減の26万3000台に大きく落ち込んだ。新型コロナの感染拡大が深刻なインドは、都市封鎖で4月の販売がゼロになり、同期では82%減の6万6000台にとどまった。日本は37%減、欧州は52%減となるなど、すべての地域でマイナスだった。

販売の減少や原材料費の上昇などによる営業減益影響額は1319億円に及んだ。為替はインドルピーやユーロなどに対して円高となり、他通貨も含めた為替変動による減益影響は45億円だった。固定費など諸経費の削減を525億円積み上げたが、販売の落ち込みを補うには至らず、コロナ禍による工場操業停止に伴う損失154億円(固定費相当額)を営業損益から特別損失に振り替えた。

売上高は53%減の4253億円、純利益は96%減の18億円となった。減収減益は2期連続。電話会議で長尾正彦常務役員は第1四半期業績について「新型コロナウイルスの感染拡大の影響に尽きる。緊縮財政で諸経費の削減努力を進めているが、工場の停止による損失を特別損失に振り替えたので、実質的には営業赤字」と、指摘した。

通期の業績予想は、「インドのコロナ感染者は直近でも1日5万人規模で、今だ拡大中だ。現時点で見通しを出すには合理的な算出が困難」(長尾常務)とし、引き続き未定にする方針を示した。7月のインドの新車販売は前年同月をわずかに上回ったものの「前年が大幅(3割程度)に落ち込んでいたこともあり、今後の動向は慎重に見極めていきたい」(同)としている。

スズキ 長尾正彦常務役員(参考写真)《写真撮影 池原照雄》 スズキのグジャラート工場(インド)