
モーターサイクル技術とロボティクス技術を融合し、未知の領域を開拓する自律ライディングロボット、ヤマハ『MOTOBOT』。2017年の東京モーターショーで披露され、200km/h以上でのサーキット走行やMotoGPトップライダーとのバトルなどで見る者を驚かせたのは記憶に新しい。
そんなMOTOBOTを忠実なまでに模型で再現したのが、バイク模型コンテスト「Modeler GP」で日本一に輝いたこともある今泉健二さん。動画サイトYouTubeの「図解!なんでも制作日記」では、プラモデルを組み上げる工程を惜しみなく公開することで模型ファンらの間では有名な存在だ。
『YZF-R1M』はタミヤのマスターワークコレクション No.165、塗装済み完成品モデルとしてタミヤより発売されているが、それに乗るMOTOBOTにはキットが存在しておらず、すべて一からつくったというから驚く。見事な完成度を見せる1/12 MOTOBOTを前に、今泉さんにお話しを伺う機会を得た。
◆見えない部分も再現しないと気が済まない
----:今泉さんにとって模型の魅力とはなんでしょう?
今泉さん:やっぱり好きなものをつくるのですが、つくるためには対象物をよく見て深く知らなければなりません。模型をつくることで、自分の好きなものがもっともっと好きになるんですよ。
----:作業としては、まず見て知ることになるのですね。今回のMOTOBOTも?
今泉さん:ヤマハ発動機コミュニケーションプラザ(静岡県磐田市)にあるMOTOBOTをよく見て、写真もたくさん撮りました。気付くことも色々とあって、MOTOBOTは指の裏に通っているワイヤーでレバーを操作していることがわかったんですよ。
----:そんな細かいところも見て、再現するのですか?
今泉さん:ちょうどいい手芸用の紐を見つけましてね、コレだ!! って思いました(笑)
----:構造についても詳しくなる?
今泉さん:そこが面白いところで、構造や仕組みがわかると、見えない部分も再現しないと気が済まなくなってしまうんです。たとえば、バイクだとシートレールですとか……外装をバラしても本物と同じに再現したり。
◆自分と向き合えるのも模型の魅力
----:やはり、つくる過程も楽しんでいるんでしょうか。
今泉さん:もちろんそれもありますが、僕の場合は完成したものが欲しいっていう気持ちが強くあります。なので立体的に出来上がっていくときは、もう昂ぶりますね。
----:設計図もなく、一からつくるのはたいへんな作業ですよね。
今泉さん:タミヤ マスターワークコレクション(YZF-R1M)の完成度が高いので、これに合わせるとなるとプレッシャーを感じました。すごくレベルが高いですから、MOTOBOTもプラ板からきっちりつくっていくしかないなと……。どうやって作り上げるか、2週間考えました。頭の部分だけは唯一パテを練って、削り出しでつくっています。
※今回のMOTOBOTは完成モデルYZF-R1Mとの組み合わせ。
----:細部も本物のようですね。
今泉さん:ボディのシェルの中にパソコンのようなメカが入っているのが(本物の中に)見えまして、これをどう再現しようか考えました。デジカメを修理に出したら壊れた部品が戻ってきて、その基盤のカタチや色がちょうど良かったので使っているんですよ。というように、いろいろと工夫して考え、妥協せずどこまでやれるか、自分と向き合えるのも模型の魅力なんだと思います。
今泉さんの制作したMOTOBOTは、ヤマハ発動機コミュニケーションプラザのプラザカフェにて展示中。ぜひ一見されたし!























