トヨタ カローラ 新型《撮影 雪岡直樹》

あの『カローラ』がここまで! それが、新型カローラを運転した正直な印象だ。(香港などごく一部で販売されていたが)実質的に国内専用設計だった先代の日本仕様カローラは、動的性能に関してはこれといって特筆すべき部分がなかった。普通の人が普通に乗って不満が出なければそれでいい、くらいの感覚だったと理解している。

◆一世代でここまで走りのイメージが変わるとは


しかしひさしぶりに日本向けも国外向け仕様(グローバルカローラ)と基本設計が共通化された新型カローラの走行性能は、数年で大きく向上した昨今のトヨタ水準。ビシッと真っすぐ走るし、旋回中は挙動のブレがないこのが素晴らしい。一世代でここまで走りのイメージが変わるとは、驚かざるを得ない。

同時期にデビューしたライバルと言えばマツダの『マツダ3』。ピュアで玄人受けするハンドリングという意味ではカローラはマツダ3の領域までは達していない。しかし、マツダ3に比べると乗り心地が断然優れていて、ハンドリングと乗り心地のトータルバランスと言う点では「トヨタは落としどころが巧み」という評価をしたい。

操縦性に一過言あるドライバーでない限りは、優れた乗り心地からマツダ3よりもカローラのほうが好印象だろう。

◆ハイブリッドは買って損なし


パワートレインは、最新世代となってドライブフィールが劇的に向上したハイブリッドの魅力が光る。ハイブリッドシステムの有無で同じ装備仕様グレード間でも約40万円の価格差があるが、燃費やパワー感といった直接的なメリット、そしてリセールバリューまで考えれば買って損はない。

個人的には1.2リットルターボエンジンをMTで乗るのも悪くない。パワーは大したことないし、エンジンも実用設計なので高回転の爽快感などはないが、MTのシフトフィールは良好。パワーを引き出して走るファン・トゥ・ドライブな感覚は結構楽しい。これも、従来に比べてレベルアップしたハンドリングだからこそ楽しめるのだ。

ところで最後に、ライバルのマツダ3と比べて残念な部分にも触れておこう。それは、内装の質感の差が大きいことだ。乗り比べると、ダッシュボードをはじめマツダ3の上質感はさすがである。カローラも、マツダ3以外のライバルに比べるとそう大きな違いはないのだが。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

工藤貴宏|モータージャーナリスト
小学校高学年から自動車雑誌を読みはじめ、1日でも早く運転したくて18歳誕生日の翌日には仮免許を取得したクルマ好き。大学在学中から自動車雑誌でアルバイトを始め、自動車専門誌編集部在籍後、編集プロダクションを経てフリーランスライターに。愛車はフランス製ホットハッチとディーゼルのSUV。

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