いすゞギガ(東京モーターショー2019)《撮影 安藤貴史》

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

合併や提携の”歳末セール”ではないが、きょうの紙面にはそんな国内外のニュースが際立っている。

まず、トラック大手のいすゞ自動車が、スウェーデンの商用車大手ボルボと業務提携することで合意したと発表。自動運転や電動化などの次世代新技術の開発で協業するほか、いすゞが2020年末までにボルボの完全子会社「UDトラックス(旧日産ディーゼル工業)」の全株式を取得し、買収するという。

この記事は12月18日付の読売夕刊に「いすゞとボルボ提携」と速報し、その日の午後、いすゞの片山正則社長とボルボのマーティン・ルンドステット社長兼最高経営責任者(CEO)が都内で記者会見して正式発表したもので、きょうの朝刊にも「いすゞ、ボルボと提携、UDトラックを買収」(日経)などと、各紙が取り上げている。

両社トップの記者会見では、いすゞの片山社長が、「(ボルボとは)約1年前から協議していた」ことを明らかにするとともに、提携は「100年に1度の変革期に対応するためだ」と説明している。昨年はトヨタ自動車との資本提携を解消しており、そのタイミングとほぼ合致する。

一方、欧州からは、すでに対等合併することを明らかにしていたフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)が、対等合併することで最終合意したと発表したというニュースも飛び込んできた。両社は当局から承認を得る手続きに移行し、早ければ2020年末(朝日は2021年春)までに統合を完了させるという。

それによると、両社の2018年の世界販売台数を合計すると871万台。統合が実現すれば、独フォルクスワーゲン(VW)、日産自動車・三菱自動車・仏ルノーの企業連合、さらに、トヨタ自動車グループに次いで世界4位に躍り出る。

また、自動車分野のほかにも、昭和電工が日立化成を買収し、完全子会社にすると発表。富士フイルムホールディングスは日立製作所の画像診断機器事業を買収することも発表。三菱重工業も長崎造船所の香焼工場について、大島造船所への売却を検討していることを正式に発表した。

年末といえば、足元の借金の取り立てに追われるなど何かと気忙しい年の瀬だが、そくな中で新年に向けて生き残るための希望をつなぐ大手企業による提携や買収の発表が集中するのも珍しい。

2019年12月19日付

●FCAとPSA統合合意、21年に新会社、自動車世界4位に(読売・8面)

●いすゞ自動運転で協業、ボルボが技術提携(読売・8面)

●自動運転、事業費無利子貸し付け、国交省方針、走行誘導システム(読売・9面)

●昭和電工が日立化成買収へ、2月にもTOB総額1兆円(朝日・9面)

●ガソリン価格7週連続上昇(毎日・7面)

●日産「ジューク」国内生産終了(産経・10面)

●11月の訪日客0.4%減、年4000万人目標。達成難しく(東京・6面)

●電通、車交換事業に参入、個人間の一時利用想定(日経・15面)

欧州で発売された日産ジューク新型《写真 日産自動車》