参考出品した『トリシティ125』の災害救援活動コンセプトモデル《撮影 山田清志》

ヤマハ発動機のグループ企業、ヤマハモーターエンジニアリングとヤマハモーターパワープロダクツは共同で「危機管理産業展2019」(2〜4日、東京ビッグサイト青海棟)に出展した。今回の目玉は参考出品した『トリシティ125』のコンセプト車両、災害救援活動向けに改良したものだ。

これまでヤマハの災害救援活動向けの車両といえば、250ccのオフロードバイクを改良したものだったが、「ユーザーの企業の人から社員に使わせるものはもう少し安全なものだといいという声が寄せられ、トリシティのものを開発した」(ヤマハモーターエンジニアリング関係者)という。

なにしろ、オフロードバイクは2輪で悪路を走る際に転倒のリスクが高い。その点、トリシティは前2輪、後1輪の3輪で安定性に優れ、転倒のリスクは少ない。これなら安心して使ってもらえると考えたわけだ。

しかも特別な装備がついている。タイヤはスノータイヤを装着し、雪道でも難なく走ることができる。また、電子機器やドローンの充電・給電が可能な補助バッテリーほか、車両手前を幅広く照射可能なコーナリングランプ、負傷者の搬送もサポートできるエマージェンシーシート、積載量20kgの大型キャリア、サイレンスピーカーなどを搭載する。

参考出品のため、価格や発売日は未定だが、災害救援活動には機動性に優れたうってつけの車両と言っていいだろう。しかし、ヤマハのブースにはこの車両以上に来場者に注目されていた商品があった。それは青色の発電機だ。

その理由は先月襲った台風15号の影響で、千葉県を中心に大規模停電が起こったからだ。しかもなかなか復旧できなかった。そんなこともあり、ヤマハの発電機の前には来場者が次々やってきて、関係者に質問する人が続出した。

「例年よりも販売台数が増えています。特にEF900、1600、1800といった小型の発電機が売れ筋で、モデルによっては品切れのものも出ています」とヤマハモーターパワープロダクツ関係者。

なかでもお薦めは最新モデルの1800とのことだ。高い起動電力を必要とする電気製品の始動に役立つブースとモードがついており、スマートコックの採用によってエンジンスイッチと燃料コックをダイヤルのみで操作できる。そのほか、電圧表示が一目で分かるボルトメーター、LEDインジケーター、LED照明など、これまでにない新機能がついている。

大きさは全長555mm、全幅300mm、全高470mmで、乾燥重量は25kg。燃料のガソリン4.7リットルで10.5〜4.2時間の連続運転が可能で、携帯電話2台の充電とノートパソコン、電動ドリル、ハンドグラインダーを同時に動かすことができるそうだ。ちなみに価格は20万8000円(税抜き)となっている。いざというときに強い味方になるのは間違いないだろう。

ヤマハの青い発電機《撮影 山田清志》 ヤマハモーターエンジニアリングとヤマハモーターパワープロダクツの共同ブース《撮影 山田清志》