ダイハツ タント 新型(カスタム RS)《撮影 宮崎壮人》

超高齢化時代にあって、今、タントはシニア世代にも販売数を伸ばしているのだという。

当初、若い子育て世代を中心にマーケティングしていたのだが、低床・低地上高の乗り込みやすさ、ピラーレスの「ミラクルオープンドア」の利便性の高さ、そして軽自動車ならではのランニングコストの安さ&取り回しの良さなどなど、確かにシニアにウケる要素は多い。

最近では「孫と一緒にワイワイとドライブしたい」と、セダンからの乗り換え需要なども珍しくないという。

◆ライバルの追随を許さないシートアレンジ


今回のフルモデルチェンジでは「DNGA」という新プラットフォームが導入された。

これにより、従来モデルから大人気のピラーレスドア「ミラクルオープンドア」に加え、超ロングシートスライドが可能な「ミラクルウォークスルーパッケージ」が実現され、ライバルの追随を許さないほどのシートアレンジを手に入れたのは大ニュースだと感じている。

これは運転席のシートスライドがリアシートに付くほど、そして助手席側のシートスライドもそれに迫るほど後ろに下がるというもの。

これにより、ドライバーは運転席側のドアを開けることなく、ミラクルオープンドアのリアシートからの乗降が可能になるのだ。

子供のいる家庭はもちろん、資料を抱えなくてはいけないときや納品物があるときなど、キャリア系世代にも絶対に嬉しい。もちろん雨のときには傘を車内で差してから外に出ることもできる。

◆福祉系装備は登録車よりも充実!


さらに、先述のシニア世代には、福祉系の装備が充実し、さらにかなり安価に設定されているのにも注目したい。

乗降の手助けになるグリップ(取っ手)やステップなどは実際にお年寄りに使ってもらって検証を重ねたもの。また、福祉用の助手席ターンシートや車椅子でそのまま乗り込めるスローパー仕様など、バリエーションもかなりのもの。

この分野に関しては、登録車よりも充実していると言ってもいいと思う。

◆むろん走りもお見事!なのだ


プラットフォーム刷新は17年ぶり、エンジンも新型、そしてCVTも新開発。これほどまでの“総替え”はダイハツ110年の歴史の中でも初めてのこと。

最新世代の技術が導入されたことにより、カッチリしたボディにクイックなハンドリングを備え、高速道路での直進はどっしりと安定し(ハードブレーキング時にもバタバタしない!)、コーナリングはロールが抑えられてクルン&ピタっと、狙ったラインをしっかりと曲がれるようになったのだ。

これほどまでに開口部の大きい背高ボディーを感じさせないフラットな安定感は、ドライバーだけでなく後席乗員の車酔いをも緩和してくれるはず。まさに「みんなのタント」を実現した。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

今井優杏|モータージャーナリスト
レースクイーン、広告代理店勤務を経て自動車ジャーナリストに転向。WEB、自動車専門誌に寄稿する傍らモータースポーツMCとしての肩書も持ち、サーキットや各種レース、自動車イベント等でMCも務めている。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。日本カーオブザイヤー選考委員。

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