トヨタ自動車の完全子会社であるダイハツ工業による自動車の認証試験を巡る不正で、先週は、国土交通省がダイハツの商用トラック『グランマックス』など3車種について、型式指定を取り消す方針を示したが、きょうの読売と産経が「社説」(産経は「主張」)のテーマでも取り上げている。
◆企業風土の改革を
ダイハツの不正問題については、不正の拡大が明らかになった昨年12月、各紙が一斉に社説でも言及していたが、わずか1カ月足らずで再び同じ企業の不祥事をテーマにするのも異例である。
きょうの社説では、読売が「安全巡る国の制度揺るがした」との見出しで「ダイハツは親会社のトヨタ自動車と、企業風土の改革に全力で取り組まねばならない」などと指摘。
産経も「悪質性高く厳罰は当然だ」とのタイトルで「長年にわたり、安全を軽視してきた以上、厳しい処分は当然である。ダイハツは再発防止に向け抜本的な経営改革を急がなければならない」などと手厳しく糾弾している。
◆グループガバナンスのあり方も問われている
このうち、読売は「トヨタグループでは製造現場の不正が相次いでおり、傘下の日野自動車と豊田自動織機も、エンジンの型式指定を取り消された。過去にこの処分を受けたのは、今回のダイハツを含めて、トヨタグループの3社だけだ」と改めて指摘。さらに「トヨタの佐藤恒治社長は、ダイハツの経営体制を刷新する考えを表明した。グループの統治体制を見直すと同時に、不正を根絶する強い決意を示してもらいたい」と結んでいる。
また、産経も「グループガバナンス(企業統治)のあり方も問われている。豊田章男会長が見直しを進めており、近く説明の場を設けるとしている」。加えて「歯止めをかけるには、根本的な原因究明が欠かせない。このままではトヨタ本体の信用失墜にもつながりかねないことを肝に銘じ、改革に取り組んでもらいたい」と伝えている。
しかし、グループの不祥事がここまで蔓延したのは、13年間もの長期政権に及んだ豊田社長時代の弊害との見方もある。その反省を踏まえてどのような説明をするのかも注目したい。
2024年1月22日付
●内閣支持再び最低24%政治不信低迷続く、本社世論調査(読売・1面)
●社説、ダイハツ不正、安全巡る国の制度揺るがした(読売・3面)
●中古車キューブ、レトロに仕上げ、日産、限定販売(読売・4面)
●主張、ダイハツ処分、悪質性高く厳罰は当然だ(産経・2面)
●核心、封印解けたライドシェア、「トヨタに激怒」も今は昔(日経・8面)
ダイハツ不正問題「トヨタ本体の信用失墜にも」[新聞ウォッチ]
2024年01月22日(月) 09時19分
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