ENYRING社がおこなう電動アシスト自転車用交換式バッテリーのサブスクサービスイメージ《写真提供 ヤマハ発動機》

ヤマハ発動機は12月25日、欧州で小型電動車両用バッテリーをマネジメントする新会社「ENYRING GmbH」を設立し、電動アシスト自転車のバッテリーによるサブスクリプションサービスをおこなうと発表した。事業開始は2025年上期を予定。

主に電動アシスト自転車など低速領域の小型電動車両を対象とし、定額料金で利用できるバッテリーを貸し出す。市中の各所に設置したバッテリーステーションで気軽にバッテリーの交換ができ、充電の手間を省くことが可能。また、バッテリー料金をサブスクとすることで、高価な電動アシスト自転車本体の価格を下げることができ、ユーザーの負担を減らすことができる。

また、使用済みバッテリーは蓄電池として再利用した後、セルに分解してリサイクルし、新たなバッテリーとして再生する。

ENYRING社はドイツ・ベルリンに本社を置く。欧州のサーキュラリティリーダー(資源循環型ビジネスをけん引する企業)とともにバッテリーをリユース・リサイクルすることで、使用済みの製品を資源として新たな製品をつくり、廃棄物を発生させない「クローズドループ」を構築。顧客の経済的・時間的負担だけでなく、環境への負荷も軽減し、持続可能な循環型社会を実現する。

ENYRING社はヤマハと戦略的パートナー企業との協業を想定しており、事業開始時にはドイツ、オランダでの事業展開を予定している。

ヤマハ発動機の日高祥博社長(“高”ははしごだか)は同事業について、「欧州の電動アシスト自転車市場は年間約500万台強、ヤマハだけでも多い時で50万台のeキットを販売している。いきなりこれをすべてサブスクに置き換えようとは考えていない」とし、まずはウーバーイーツなどで電動アシスト自転車やeバイクを日々利用しているユーザーが対象になると想定。利用者が増えていくことで、「同じバッテリーを使わせてくれという会社(電動アシスト自転車メーカー)も出てくるかもしれない。増えていけばリユース、リサイクルも回っていく。まずは、小さく生んで大きく育てていきたい」と語る。

ENYRING社がめざすクローズドループのイメージ《写真提供 ヤマハ発動機》