「クールで大人っぽいバイクにしたかった」と話した指出さん。新しいバイクライフがカスタムXSR700とともにスタートする。《写真撮影 真弓悟史》

「#ヤマハ女子」としても活動の場を広げつつある俳優・タレントの指出瑞貴さん。愛車の一台であるヤマハ『XSR700』に、人生初となる大規模なカスタムを施すということで密着取材した第二弾。今回は、いよいよオーダーしたXSR700カスタムが完成したということで、ショップに向かった。その出来やいかに?

◆指出瑞貴、人生初のバイクカスタム
「待ち合わせの30分前に到着して、ずーーっと見ていたんです。ホント、可愛い〜!」。ナインゲートの扉を開けると、テンションの高い指出瑞貴さんが迎えてくれた。俳優、タレント、バイク女子、ヤマハ女子と様々な顔を持つ指出さんにとって今回のヤマハ XSR700は人生初のバイクカスタム。冒頭のハイテンションも頷ける。

この日は東久留米のナインゲートに、指出さんのXSR700カスタムに携わったメンバーが集結。XSR700カスタムのお披露目というわけだ。指出さんのために集まったメンバーは、以下。錚々たる顔ぶれである。

●細井啓介さん:ナインゲート代表。カスタムトータル担当。
●大塚綾史さん:ラズルダズル代表。シート制作担当。
●増永修治さん:ハイジャンパー代表。ペイント、ピンストライプ、レタリング担当。
●内原洋介さん:オフィスフォーエイト、リゾマパーツ担当。

皆から集まったパーツをナインゲートの細井さんが組み上げ、指出さんの要望通りに仕上がったXSR700は特別な存在感を放つ。

「こんな色の組み合わせのバイク見たことない」「女性らしい」「とてもコンパクト」など、メンバーからも様々な意見が飛び出す。

そして、この場でハイジャンパーの増永さんがヘルメットにレタリングとピンストライプを入れてくれるという。箱からタンクと同色に塗られたBELL製ヘルメットが取り出されると「わぁ〜、可愛い〜」と指出さんの声がワントーン上がる。

指出さんの名前を増永さんがデザインし、タンク上面にはすでにレタリングが施されている。「真っ白かな? 少し黄色がかっていてもいいかも」と増永さんがヘルメットに筆を落とす。「真っ白で!」と指出さん。色が決まると、下書きも無しにレタリングがスタート。ヘルメットの印象がどんどん変わっていく。

ちなみにヘルメットとタンク上面に書かれているのは「Mizuqui」をデザインしたもの。「私、小さな頃はブラジルに住んでいて…ブラジルではkiをquiって書くんです。だからこの方が私らしいかなって」と指出さん。

◆跨って感激。「座り心地もポジションもノーマルと全然違う!」
しばらくすると、「実は皆さんが揃うまで跨るのを我慢していたんです。1時間半、我慢してます。そろそろ跨っていいですか?」と指出さん。

「うわー、全然違う。足が着くし、シートが気持ちいい。私のお尻にフィットする感じ。シートに角かない。バイクが小さくコンパクトに感じます」と指出さんは、ノーマルとの違いをすぐに実感。

シートの制作を手掛けたラズルダズルの大塚さんは、「シートは形にこだわりました。1回削って、ナインゲートさんに持ち込んで現車に合わせました。縫製している時間よりウレタンを削って車体に合わせている時間の方が長かったですね」とこだわりのポイントを語る。

「足着き性も良いし、見た目も綺麗。シートを見てすぐに絶対ここ削ってる〜って思いました。最初、シートはブラウンやキャメルにするという案もあったんですけどワインレッドにしてよかった。赤すぎず茶色すぎないワインレッドってかなりわがまま言いましたけど(笑)」と指出さん。

大塚さんが、「正直、最初は、えーワインレッド?って思いました。でも革の質感も含めて良いですね。赤は種類によって軽薄になりますから。ステッチはゴールドという話もあったけど、赤が正解でした」と話すと、「もう、大塚さんのセンスです!」と指出さんが応える。「私の着座位置も考慮してウレタンを成形してもらっているので、本当にしっくりくる。太れませんね」と指出さんが笑うと、そこにいた全員がワッと笑顔になった。

◆目指したのは、女性にフィットするコンパクトなXSR700
シートだけでも見栄え、乗りやすさは大きく進化したが、車体のカスタムはこれだけではない。ハンドル、レバー、サスペンション…と多岐にわたるが、めざしたのはもちろんガチガチの“走り仕様”ではなく、カッコよさと乗りやすさを両立した指出さんの「私だったらこうしたい!」の実現だ。

今回のカスタムをとりまとめたナインゲートの細井さんは、「リゾマ製のハンドルはノーマルよりも2本分低めに、さらに少し手前に来るようにセットしました。レバーもリゾマ製です。足着き性に関しては、シートはもちろんですが、前後サスペンションのスプリング交換も効いていて、これで20mmほど下げています。車体全体を低く、コンパクトにしつつ、乗りやすさを追求してみました」と話す。

リゾマを取り扱うオフィスフォーエイトの内原さんは、「イタリアならではの突き抜けたデザイン性がリゾマのポテンシャル。単独で見ても美しいパーツなのですが、元々あるバイクのデザインを崩さないことも考慮。リゾマのパーツが入ることでそのバイクをさらにエレガントに見せることを考えています。バイクに乗る上で、ミラーって何回見るんだろう。レバー操作って何回するんだろうと思いますよね。リゾマはライダーが求める操作性や満足度を裏切らない素材選びと物作りをしています」とブランドの哲学を語る。

「バイクが小さくなったみたい。メーター越しの風景もヒュッとコンパクト。ハンドルやレバーの感触が良いですね。私の憧れだったバーエンドミラーも素敵です。コンパクトで足着き性も良いので頑張って乗らなくて良い気がします。私は手が小さくて、どんなバイクに乗っても長時間乗ると親指の付け根が痛くなるのが悩みだったんですが、リゾマは自然に操作できそうです」と指出さん。

「乗った感じはとてもコンパクト。でもアクセルを開けるときちんと700ccの加速をします。カスタムって難しいですよね。カッコいい!と思っても乗りにくいバイクだと、最初は嬉しくて乗るけど徐々に乗らなくなってしまう。でも今回は『乗りやすい』と『こうしたい』がうまくバランスするように意識したんです」と細井さん。

◆最初に色の組み合わせを聞いた時、「指出さん攻めるなぁ〜」って思いました(笑)
「ついに仕上がりましたね〜」とハイジャンパーの増永さん。増永さんはタンクのペイントを担当したが、完成した実車を見るのは今回が初めて。「最初にターコイズブルーにワインレッドのシートを組み合わせるって聞いた時は、指出さん攻めてるなぁと思いましたが、こうして見るといいですね」。

ターコイズブルーは指出さんにとって「憧れの色」であり、パーソナルカラーでもあるという。打ち合わせの際に指出さんは「私を上品でキレイに見せるのは水色なんですよ。だからタンクカラーはすぐに決まりました」と話していた。「増永さんにターコイズブルーを何種類か見せてもらったんですけど、少しの違いで印象が変わるんです。ホントーに悩みました。実は、このターコイズブルーには微妙にパールが入っているんですよ。光の加減でちょっと違った表情になるんです」と自慢してみせる。

タンクに入るレタリングにも指出さんならではのこだわりが。実際に何種類も書いてもらって決めたという。増永さんは「指出さんのイメージは、ブロック体よりは筆記体。文字を読むというよりは、マークっぽくしました」と話す。

「赤がいいかなぁと思っていたけど、実際に赤をタンクに乗せるとなんか違う。でも、自分で色や文字を決めていくのはとても楽しかったです。ロゴ感と可愛らしさ、ドットの入り方も気に入ってます。MizukiはいるかもしれないけどMizuquiはいないと思うんですよね」と指出さん。

◆ファッションは引き算が大事?
「今の私のベストな気がしています。いっぱい乗らないと」と今回のXSR700カスタムを前に、改めて意気込みを話す指出さん。そして人に見られる仕事なだけに、XSR700カスタムに合うファッション選びも真剣だ。

「実は今回ファッションに迷ったんです。バイクがこのカラーなので引き算のファッションを意識しました。なので今日は、白と黒だけ。バイクがメインと思うと自分をどれだけ抑えられるかが大事。ただ、完成したXSR700がもっと激しい印象かなぁと思っていたんですけど、意外と色々なファッションを合わせられそうな気もしてきました。バイクの色を主役に、ヨーロッパっぽいファッションを意識してみたいですね。明日ツーリングに行くんですけど、めちゃくちゃ目立ちますよね(笑)みんなこのバイクで登場したら驚くだろうなぁ〜」と指出さん。

バイク女子、ヤマハ女子の視座からスポーツヘリテイジとしての新たな提案を完成させた指出さん。毎日をもっと楽しむための無二のバイクが完成して、自分らしさ溢れるバイクライフが約束された。新しい相棒がいれば、明日はもっと楽しくなるに違いない。

指出瑞貴さん(中央)専用カスタムのヤマハ XSR700を手掛けた4名のプロフェッショナルと。《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 カスタムペイントを手がけるハイジャンパー増永さんの仕事道具《写真撮影 真弓悟史》 カスタムペイントを手がけるハイジャンパー増永さん(左)とデザインの最終確認《写真撮影 真弓悟史》 ヘルメットデザインのイメージ《写真撮影 真弓悟史》 センターを出したら下書きもなく増永さんがレタリングを入れていく。どんなロゴを入れたらいいのかわからない…という方も安心。増永さんはこういったロゴデザインの相談にものってくれる。《写真撮影 真弓悟史》 センターを出したら下書きもなく増永さんがレタリングを入れていく。どんなロゴを入れたらいいのかわからない…という方も安心。増永さんはこういったロゴデザインの相談にものってくれる。《写真撮影 真弓悟史》 「淡い色に白のレタリングはボヤけるかな〜とも思いましたがいいですね。ターコイズブルーの中のパールの大きさも指出さんに選んでもらって、大きめのパールが入っています」と増永さん《写真撮影 真弓悟史》 ヘルメットはBELL製のジェットタイプをハイジャンパーの増永さんがペイント。この日、後頭部の部分にレタリングを、ヘルメット全体を巡るようにピンストライピングを入れてくれた。《写真撮影 真弓悟史》 「足が着くし、シートが気持ちいい!」完成後はじめてシートに跨がる指出さん。《写真撮影 真弓悟史》 シートの上面と側面のラインが絶妙な位置に。角を外したラインにすることでシートを薄く見せている。上面は20mmほど薄くしているが、ダイヤモンドステッチに10mmのウレタンを入れている。《写真撮影 真弓悟史》 「縫製している時間よりウレタンを削っている時間の方が長かった」とラズルダズル大塚さん。《写真撮影 真弓悟史》 ラズルダズル大塚さんからシートへのこだわりを聞く指出さん。《写真撮影 真弓悟史》 「昔のカフェレーサーっぽく後端にウレタンを足すか、ギリギリタンデムができるようにフラットするか迷いました。結果、ウレタンを足すことはなく削って成形。XSR700のシートは削ってもコシが残るウレタンでしたね」と大塚さん。《写真撮影 真弓悟史》 ステッチの幅も試行錯誤。広くすると馬具やワークブーツみたいになるし、細かすぎると目詰まりして見えるため、何種類も試して上品になるステッチの幅を実現。《写真撮影 真弓悟史》 「ひとまず完成ですが、これで終わりじゃない。指出さんが走り出し、距離や時間を重ねた時にアップデートもできます。長く付き合える1台です」とナインゲートの細井さん。《写真撮影 真弓悟史》 『乗りやすい』と『こうしたい』がうまくバランスするように意識したと細井さん(右)は話す。《写真撮影 真弓悟史》 「指出さんのテンションが上がっているのがすぐにわかりました。バイクライフの中で常に触れている部分が上質になったり洗練されるとやはりテンションが上がるんです」と内原さん。《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 ステップはバーのみリゾマ製に交換。足を乗せると内側に移動する際は滑りが良いが、外向きに対してはしっかりとグリップする表面加工が施されている。《写真撮影 真弓悟史》 ワイズギヤ製のパフォーマンスダンパー。エンジンの気持ちの良い鼓動を残し、ハンドリングをしなやかにしてくれる。《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 低く、手前に構えたリゾマ製のハンドル。指出さんが跨ると自然な位置にグリップがくる。ポジションはかなりコンパクトになった。《写真撮影 真弓悟史》 遠近の調整が可能になるリゾマ製のアルミ削り出しレバー。ダイヤル調整ノブの赤いリングはラバー製で青や黒なども用意。このあたりのセンスや気遣いがイタリアンブランドならでは。《写真撮影 真弓悟史》 グリップヒーターはエンデュランス製。スイッチ周りがコンパクトでハンドル周りをシンプルにまとめることができる。《写真撮影 真弓悟史》 ノーマルのサスペンションにハイパープロ製のスプリングをセットして20mmローダウン。《写真撮影 真弓悟史》 メーターはデイトナのステーで前方に移動。目線を落とすことなくメーターを確認しやすくなっている。《写真撮影 真弓悟史》 タンク上面のパネルとシートの幅が絶妙に繋がる。これも大塚さんが計算したシルエット。シートは低くするよりはスリムすることで足着き性の良さを実現。《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 「今の私のベストな気がしています!」と話す指出さん。《写真撮影 真弓悟史》 指出瑞貴カスタムのヤマハ XSR700《写真撮影 真弓悟史》 フェンダーレスキットはリゾマ製。テールライトやウインカーもコンパクトなリゾマ製。「どんぐりウインカー可愛いですよね」と指出さん。《写真撮影 真弓悟史》 カスタム前のヤマハ XSR700《写真撮影 柳田由人》 カスタム前のヤマハ XSR700《写真撮影 柳田由人》