三菱自動車が中国で生産していたエクリプスクロス(2018年)《写真提供 三菱自動車》

「わが社は大丈夫なのか?」----中国市場に入れ込む自動車メーカーの社員からは、こんな憂いる声が聞こえてきそうなニュースだろう。

三菱自動車が、中国の自動車生産から撤退する方針を固めたと、きょうの日経が1面トップ記事で報じたほか、読売なども追随して取り上げている。それによると、現地メーカーが生産する電気自動車(EV)との競争が激しく、販売不振に陥っており、主力市場となる東南アジアに経営資源を集中させるというのが撤退の理由のようだ。

◆14万台が3万台に
三菱自は2012年に中国の自動車大手の広州汽車集団などと合弁会社「広汽三菱汽車」を設立。湖南省にある長沙工場で、スポーツ用多目的車(SUV)の『アウトランダー』など、ガソリン車を中心に生産してきた。

しかし、最盛期の2017年度には14万台もあった中国での販売台数は、22年度には約3万台まで減少。昨年12月には、巻き返しを狙って新型車を投入したが、販売台数が計画を大きく下回っていた。このため、今年3月以降は、現地工場の生産を中止し、部品メーカーに支払う補償費用もかさんでいたようだ。広汽三菱には、広汽集団が5割、三菱自が3割、三菱商事が2割を出資。合弁会社は存続するが、三菱自と三菱商は出資分を引き揚げる方針だという。

◆各社が中国戦略を見直しか
日本車メーカーの中国市場をめぐっては、すでにコロナ禍前の2018年には、スズキが現地企業との合弁を解消し、事実上の撤退に踏み切った。その後、中国では急速なEVの普及に伴い、ガソリン車に強い日欧米などの自動車ブランドは苦戦しており、三菱自動車による生産撤退の決断を機に、中国に入れ込む自動車メーカーの中にも「戦略の見直しが広がる可能性がある」(日経)とも伝えている。

2023年9月28日付

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ホンダ青山ビル(2023年)《写真提供 ホンダ》