いすゞエルフEカーゴ(EV)《写真提供 いすゞ》

某大手トラックメーカーの不適切な完成検査問題を除いて、新型車のトラックのニュースが全国紙の1面を飾るのは極めて異例だ。

いすゞ自動車が、普通免許でも運転できる車両総重量3.5トン未満のディーゼル車の小型トラックを来夏までに発売する方針と、きょうの読売が1面準トップ記事で大きく報じている。

◆物流の2024年問題
それによると、2017年の道路交通法改正により、普通免許で運転が可能だった総重量3.5トン以上の車両は、新たに準中型免許(同3.5〜7.5トン未満を運転可能)の取得が義務づけられた。

折しもドライバーの残業規制で物流の停滞が見込まれる「2024年問題」が懸念される中、改正後に取得した普通免許では従来の小型トラックが運転できなくなり、準中型免許を持たない若手アルバイトやパートでも宅配などで運転できる車両を求める声が高まっていたという。

すでに普通免許で乗れるEVのトラックは、2022年から日野自動車が販売中だが、EVは航続距離の短さや充電環境など課題も残るため、いすゞは電池が重いEVより荷物が多く運べるディーゼル車を開発し、車両サイズを小型貨物車の規格(全幅1.7メートル、全長4.7メートル、全高2メートル以下)としながらも、エンジンや変速機の軽量化を図り、荷物を最大1.5トン程度まで積載できるように設計。

◆ディーゼルは国内初
いすゞの主力車種『エルフ』シリーズとして発売するという。現在、トラックの大半を占めるディーゼル車の小型トラックに普通免許で運転できる車種は国内になく、新型車がその穴を埋める形になるとみられる。

いすゞでは、今年4月、8年ぶりの社長交代で、海外営業などを長く経験した南真介氏が新社長に就任したのを機に、異業種やライバルメーカーのベテラン広報マンを幹部に迎え入れるなどして広報体制を刷新。日本自動車工業会の筆頭副会長も務めている片山正則会長とともに、カーボンニュトラルやドライバー不足といった日本の物流の抱える緊急課題などを積極的に発信するようにもなった。

いすゞと言えば、トヨタ自動車や日産自動車とともに、戦後の国内の自動車産業をけん引するなど、“旧御三家”とも呼ばれてきたが、業績不振が長く続いた影響で、これまでは情報発信も“内向き”でメディアへの露出度も少なかっただけに、素早い“変身ぶり”である。

2023年9月27日付

●普通免許OK トラック発売へ「準中型」持たぬ若者でも、いすゞ、3.5トン未満「2024年問題」対応(読売・1面)

●日産欧州販売「全面EV化」30年まで、環境規制前倒し対応(読売・8面)

●世界新車販売EV65%、IEA、脱炭素へ2030年目標(読売・9面)

●1ドル149円台、11カ月ぶり日米金利差が影響、為替介入に警戒感(朝日・7面)

●サーキット駆ける17歳、Juju、登竜門レース女性初。次の照準はEV戦、その先にはF1(毎日・14面)

●プラズマクラスター、車の運転能力アップ、シャープ・芝浦工大が共同研究(産経・10面)

●西武鉄道、中古車両100車両導入へ、東急・小田急から、大手私鉄間では異例(東京・7面)

●バイデン大統領、苦肉の自動車スト支援、EVシフトより労組票、トランプ氏と争奪(日経・3面)

●急速充電拠点都内1000カ所、テラモーターズ、1年半めど、EV普及に追い風(日経・15面)

●「電池パスポート」規格化、日産やホンダ主導、欧米導入見据え(日経・15面)

日産欧州販売「全面EV化」前倒しへ《photo by Nissan》 テラモーターズ:テラチャージの超急速充電器《写真提供 Terra Motors》