1980年登場の初代フィアット『パンダ』に4輪駆動車の“4×4”が追加されたのが1983年。今年で40年を迎え、記念モデルも登場したが、今回はその初代をカタログで振り返ってみたい。
◆小さなボディに本格的メカニズムを搭載
4WDというと今なら決して珍しくないが、道具感に溢れたパンダに追加で設定された4×4は、まさに似つかわしい1台として注目を集めた。
しかもメカニズムはかなり本格的なもので、4WD化を受け持ったのはメルセデスベンツのゲレンデ・ヴァーゲンや後にVWゴルフ・カントリーなども手がけたオーストリアのSTEYR PUCH A.G.(シュタイアー・プフ社)で、“陸軍の規格をクリアする品質と、耐久性を持たせた4輪駆動システムを開発”と当時の日本仕様のカタログにも説明がある。ちなみにパンダ4×4は、エンジン横置き・FFベースの4WD車として初のモデルでもあった。
構造的には、フロント側にサブフレームを新設定。これはハードな走行にも対応させたものでフロントエンドプロテクションの役割も与えられたもの。そのほかフロアトンネル中央部には、ドライブシャフトのたわみを抑えるクロスメンバーも装着された。フェンダー内側にはインナーマッドガードも付けられていた。
当初の搭載エンジンは965ccの4気筒で48hp/7.1kgm、後に999cc、1108ccへと変遷。トランスミッションは5速MTで、2WDと4WDの切り換えはフロアに備わる専用レバーで行なう方式。サスペンションはフロントがストラット、リヤはFFがオメガアームと呼ばれたリジッド+コイルバネだったのに対し、4×4では3ブレードの板バネ式が採用された。
なお2代目パンダ以降でも4×4は設定され、愛好家からの支持を集めた。シンプルさはそのままに、コンパクトなボディにこだわりのハイメカニズムを詰め込んだ小粋なミニ4WDだった。
ハイメカニズムを詰め込んだ小粋なミニ4WDだった『パンダ4×4』という存在【懐かしのカーカタログ】
2023年06月25日(日) 08時00分
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