マセラティ・ミストラル・スパイダー3500(オートモビルカウンシル2023)《写真撮影 高木啓》

コンバーチブルのスーパーカー、『MC20チェロ』をオートモビルカウンシル2023(幕張メッセ)で日本初披露したマセラティは、希少な『ミストラル・スパイダー3500』(Maserati Mistral Spyder 3500)を並べて、オープントップモデルを訴求した。

マセラティでは基本的に歴代のオープントップモデルを「スパイダー」、「コンバーチブル」と称している。ほとんどのモデルがスパイダーを名乗り、『グランカブリオ』が北米で「グラントゥーリズモ・コンバーチブル」と命名されたのがわずかな例外だ。

軽快なオープンカーを「スパイダー」=蜘蛛(クモ)と呼ぶ由来には諸説ある。折りたたんだ幌をしばった形がクモの糸に絡めとられた獲物に似ているから、あるいは、低いボディと四方に張り出したタイヤがクモのように見えるから、など。もともと北米発祥の、馬車の車体の呼称からの流用ではある。その本当の起源はマセラティも言うように「よく解らない」。マセラティによると、スパイダーという名称が自動車のホディの名称としてポピュラーになったのは第二次世界大戦後のことだそうだ。

ここで不思議なのは、つづりがSPIDERではなくSPYDERであること。だから厳密にはクモではない。イタリア語には元来存在しない“Y”の字で“I”を置き換えていることから、マセラティやイタリアにとって外来語である「エキゾチックな雰囲気」(マセラティ)を強調したかったようだ。すべてのスパイダーがYでつづられたのではないことにも留意が必要だ。

マセラティによると、同社の社内文書で、イタリア市場向けには正統な「コンバーチブル」が、北米市場向けには「スパイダー」の名称が使われていた例もあるという。北米発祥の名称が逆にイタリアのエキゾチックな車として認識されているのが面白い。

マセラティ・ミストラル・スパイダー3500(オートモビルカウンシル2023)《写真撮影 高木啓》 マセラティ・ミストラル・スパイダー3500(オートモビルカウンシル2023)《写真撮影 高木啓》 マセラティ・ミストラル・スパイダー3500(オートモビルカウンシル2023)《写真撮影 高木啓》 マセラティ・ミストラル・スパイダー3500(オートモビルカウンシル2023)《写真撮影 高木啓》 マセラティMC20チェロ(オートモビルカウンシル2023)《写真提供 マセラティジャパン》 マセラティ(オートモビルカウンシル2023)《写真提供 マセラティジャパン》