BMW XM《写真撮影  内田俊一》

ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は、M社50周年を記念してデビューしたMブランド専用モデル第2弾、『XM』を発売。その誕生経緯などを商品担当に話を聞いた。

◆パフォーマンスとラグジュアリーをMとして表現
---:デザインを見ると『M1』を意識してるところが多く見られます。それはリアの左右に置かれたエンブレムだけでなく、サイドのモールディングからも感じられます。つまり位置づけのひとつとしてM社設立50周年モデルということもありますよね。

ビー・エム・ダブリューBMWブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マーケティング プロダクト・マネージャー 御舘康成氏(以下敬称略):はい、発表は去年でしたので、まさにM社50周年を記念するもので間違いはないです。

---:ではXMはなぜ生まれたのでしょうか。

御舘:Mが持つモータースポーツとヘリテージ、そしてそのパフォーマンスと、ラグジュアリーとしての快適性、高品質感を1つのクルマとして実現したい。そこが1番です。Mは間違いなくBMWの究極の姿なので、そのMというブランドの中においてそれを実現したいということがそもそもの発端です。

---:そこでSUVを選んだのはやはり時代性でしょうか。

御舘:時代性はあると思います。また、ある程度ラグジュアリーとしての快適性を求めると、それ相応の室内空間も当然必要になってきますので、そういった意味ではこのSUV/SAVのボディースタイルで実現するのが最もわかりやすいでしょう。確かに世の中的にもハイパフォーマンスSUVのマーケットが大きくなってきていますので、このボディースタイルが最も適切であろうという考えです。

---:このXMは『X7』などと比べて、よりクーペライクな位置付けなのでしょうか。

御舘:そういえるかもしれません。X7の方がどちらかというとユーティリティ側に振った形です。そうはいってもXMは『X6』まではいきません。それはなぜかというと、リアの空間をラウンジコンセプトで広く取って快適にしたいからです。『X3』、『X5』、X7系と、『X4』、X6系とで、どちらでもないような位置づけでしょう。つまりはスポーティな走りでありながらも、快適なラウンジ空間を確保し、なおかつ全体的には、アピアランスも含めてスポーティにまとめる独自デザインということです。

---:確かにX6だと後席の快適性よりはドライビングとデザイン方向重視ですね。一方XMは前席と後席の世界観を思いきり分けていますので、新たな考えと捉えられますね。

御舘:全く新たな考え方です。乗れば当然、BMW最高峰であるMのパフォーマンスドライビングが楽しめます。一方後席に座ればラグジュアリーとしての快適性が楽しめるというクルマです。この性格を表している面白い例があります。実はガラスはアコースティックガラスを採用しているのです。これは『7シリーズ』などに使う4.5から5mmぐらいの厚みがあるガラスです。普通Mですと排気音を聴きたいということから、こういったものは採用しませんが、このクルマは後席でリラックスしてもらいたいという思いがあるのです。

また従来のMと違うのは、インテグラルアクティブステアリング(後輪ステア)とか、電子制御モーターを使ったアクティブアンチロールスタビライザーなど7シリーズクラスに使う技術が、このクルマにも採用されています。通常のMですと、サーキット走行を意識していますから後輪ステアやロールの電子制御は外すことが多いですよね。しかし、このクルマでは採用しているわけです。

その理由は、「ここまでできる」という進化を表すことなのです。スポーティとラグジュアリーは相反するものではないということです。電子制御技術が進んでエンジンにモーターを組み合わせてもダイレクトレスポンスは維持したまま、より太いトルクとパワーが出せるし、後輪ステアを入れても、もしろスポーティーさが強化されている。そういったパフォーマンスを実現しながらも、当然後輪ステアした方がレーンチェーンジなどでもピッチングやローリングを抑えやすくなりますから快適性も向上する。つまりスポーティーさと快適性を最新の電子制御を使えば両方できる、そういうことです。

◆従来の価値にとらわれないユーザーを
---:日本においてユーザー層はどのように想定していますか。

御舘:当面はBMWのお客様が来てくださるでしょう。BMWの新しいチャレンジに対して共感をいただいて来てくださると思っています。そしてその次ですよね。このクルマが街中に走り始め、あるいはドライビングインプレッションが媒体に出た時に、Mの走りと、ラグジュアリーな快適性とを高く融合した他にないクルマという評価が広まれば、他のブランドのお客様も魅了できると思っています。

また、従来の価値観にとらわれない方々や、アートなどに興味のある自身のこだわりの強い方。当然年収も高いある程度若い人達かなと思っています。我々がチャレンジしたクルマに、チャレンジしていただこうという方々ですから。そういう方を想定していますけれども、具体的にどのクルマに乗ってる方がどう流入してくるかは、人それぞれの色々な思考と価値観がありますから、他の本格オフローダーかもしれませんし、スポーツカーかもしれません。こういう方々の中にはブランドにロイヤリティを持つ方も当然いますけれど、色々なハイパフォーマンスカーの世界観を自分の中で体感してみたいという方もいらっしゃいますので、十分チャンスはあるかなと思っています。

ビー・エム・ダブリューBMWブランドマネージメントディビジョンシニアマネージャープロダクト・マネジメントのフスカール秀樹氏(以下敬称略):このクルマはそもそもラグジュアリとスポーティネスというすごく幅広いところをカバーしています。ですからターゲットグループも幅広くカバーすることになると思いますので、そのあたりはお楽しみという感じでしょうか。たぶんこのクルマですと、イタリアのスポーツカーメーカーのクルマも競合や流出元であるかもしれません。現在のBMWのポートフォリオでそういったメーカーからお客様が流入してくるような商品はないとは思いますので、かなりユニークなクルマになると思います。

◆すごく贅沢なクルマ
---:最後にこのクルマで語っておきたいことをぜひお願いします。

フスカール:本当にユニークなので、ほかを探してもないと思います。プラグインハイブリッドで究極のラグジュアリー、究極のスポーティネスという、BMWがグループとして持っている技術とノウハウを全部詰め込んだクルマですので、すごく贅沢なクルマなのではないかなと思います。

御舘:BMWというブランドが、ラグジュアリーハイパフォーマンスの世界でまた新たな橋頭堡を築いて、ほかのスーパーブランドに対して戦っていける足がかりとなるクルマといえるでしょう。実際に走らせたときに、パフォーマンスだけでなく、是非、乗り心地も含めて味わっていただきたいですね。

BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 BMW XM《写真撮影  内田俊一》 ビー・エム・ダブリューBMWブランドマネージメントディビジョンシニアマネージャープロダクト・マネジメントのフスカール秀樹氏《写真撮影  内田俊一》