カワサキ TERYX KRX 1000と丸山浩氏《写真撮影 吉田瑶子》

北米を中心に人気を呼んでいるカワサキのオフロード四輪車。今年10月からは、カワサキモータースジャパンが日本への導入を開始している。アメリカ・ネブラスカ州のリンカーン工場で生産され、日本で正式に販売されるということだが、日本ではそもそもオフロード四輪車を走らせられる場が少ない。

アメリカはオフロードならナンバー無し車両の走行が許されている場所が多いようだが、日本ではオフロード、林道でも公道と見なされるのが通常でナンバーが必要。となるとナンバーが取得できないオフロード四輪車が走れる場所はかなり限られてくる。

だが、カワサキモータースジャパンの桐野英子社長は、「せっかくカワサキがつくっている楽しい乗り物ですから、日本の皆さんにもぜひ知ってもらいたい」と積極的だ。それなら…と、愛知県豊田市の「さなげアドベンチャーフィールド」で行われた試乗会に参加。今回は3モデルに試乗した。それぞれのキャラクターの違いを紹介する。

◆「頼れる働き者」のMULE
『MULE PRO-FXT EPS』は、主に山林や農場などでの作業に特化したモデルだ。前3人、後3人が乗車できる4ドアモデルだが、前後ともにベンチシートで調整もできない。後ろのシートは畳むことができ、荷台を拡大できる。

並列3気筒812ccエンジンをかけると、なんだか懐かしい軽トラムードだ(笑)。だが、MULEの悪路走破性は日本の軽トラをはるかに上回る。長いストロークのサスペンション、12インチホイールにセットされた26インチの大径タイヤなどの恩恵で、「えっ、こんな所も登れるの?」という荒れた斜面をいとも簡単に黙々と登ってしまう。

これがまた、本当に「黙々と」という感じで、作業車や重機に近い印象のフィーリング。ファン要素というよりは、「頼れる働き者」というイメージだ。カワサキも「実用性を重視したUV(ユーティリティ・ビークル)」と称しているが、とんでもない所を黙々と登ってしまうところがしみじみと楽しい。

◆悪路走破性が高いファンモデル、TERYX4 S LE
『TERYX4 S LE』は、さらに悪路走破性が高いファンモデルだ。オーバーハングがほとんどなく、まずタイヤから障害物に当たるし、最低地上高も高いので、荒れたガレ場などものともしない。

サスペンションストロークは非常に長く、衝撃吸収性は高い。悪路を走っていても凸凹を感じないほどだ。外から見ると、とんでもない荒れ地を行き車体が前後左右に振られているのに、乗っている側は快適そのもの。ちょっと不思議な感覚である。

◆ドリフトもガレ場もOKなTERYX KRX 1000
そしてカワサキの真骨頂とも言えるのが、『TERYX KRX 1000』。並列2気筒999ccエンジンは114psを発生し、実にパワフルだ。MULE、TERYX4 S LEに比べるとファン度合いはさらに高まり、フラットダートならドリフトもお手の物。かなりアグレッシブだ。

私は砂漠を駆け抜ける「BAJA1000」(メキシコで開催される砂漠のレース)に参戦したことがあるが、砂漠をバイクで走るとやはり4輪オフロード車に敵わない箇所が多い。TERYX KRX 1000のパワフルなエンジンと、とてつもなく頑丈そうなサスペンションを見ると、「コイツでBAJA 1000レースに出てみたい!」と思ってしまう。これならどこでも行けそうだ。

MULE、TERYX4 S LEをカスタムチューニングし、どんなガレ場もガンガン登れ、ロールバーがあるから、万一ひっくり返っても安心。…ひっくり返らないに越したことはないが、そんな競技性もしっかりと想定されているところから、TERYX KRX 1000の遊び方がうかがえる。

さて、日本ならどこで遊べるか考えてみると、モトクロスコースやエンデューロコースということになるだろう。福島の「モトスポーツランドしどき」のような高速コースなら、114psを楽しめそうだ。

「楽しい乗り物づくり」を標榜しているカワサキ。オフロード四輪車というカテゴリーでも「楽しさ」を忘れていないことを示すTERYX KRX 1000は、いかにもカワサキらしいフラッグシップモデルと言えそうだ。

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

カワサキ TERYX KRX 1000《写真撮影 吉田瑶子》 カワサキ TERYX4 S LEに試乗する丸山浩氏《写真撮影 吉田瑶子》 丸山浩氏《写真撮影 吉田瑶子》 カワサキ TERYX KRX 1000、TERYX4 S LE、MULE(左から)《写真提供 カワサキカワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX4 S LE《写真提供 カワサキカワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX4 S LE《写真提供 カワサキカワサキモータースジャパン》 カワサキ MULE PRO-FXT EPS《写真提供 カワサキカワサキモータースジャパン》 カワサキ MULE PRO-FXT EPS《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ MULE PRO-FXT EPS《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ MULE PRO-FXT EPS《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ MULE PRO-FXT EPS《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ MULE PRO-FXT EPS《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX4 S LE《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX4 S LE《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX4 S LE《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX4 S LE《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真提供 カワサキモータースジャパン》 カワサキ TERYX4 S LE《写真撮影 吉田瑶子》 カワサキ TERYX4 S LE《写真撮影 吉田瑶子》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真撮影 吉田瑶子》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真撮影 吉田瑶子》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真撮影 吉田瑶子》 カワサキ TERYX KRX 1000《写真提供 カワサキカワサキモータースジャパン》