日野デュトロZ EV《写真提供 日野自動車》

2022年9月中間決算の発表が本格化しているが、完成車メーカーのトップバッターは、エンジンの排出ガスなどを巡る不正で再建が危ぶまれているトヨタグループの日野自動車。

同社が発表した22年9月中間連結決算は、最終(当期)利益が前年同期比70.4%減の34億円。一方、売上高は6.4%増の7333億円の増収減益となったが、出荷停止で国内販売は大幅に落ち込んだものの、タイやインドネシアなどの海外販売が好調だったため、出荷停止で落ち込んだ国内をカバーした格好だ。

また、エンジン性能試験を巡る不正の影響で、これまで「未定」としていた23年3月期連結決算の業績予想については、売り上げが前期比4.8%増の1兆5300億円になる見通しだが、最終利益は現時点では取引先への補償やリコール費用の算定が困難だとして、今回も公表を見送った。

きょうの各紙も「日野、営業益82%減、23年3月期予想、最終益公表見送り」(読売)や「日野、純利益公表見送り、3月期見通し、不正で『算定困難』」(朝日)などの見出しで経済面のトップ記事などで大きく報じている。

◆再建が見通せない
それによると、当面の焦点は、出荷停止の影響を受けた部品会社など取引先への補償問題。読売は「国内販売の4割を占める車種で出荷のメドは立たない中、最終利益の算定ができない状況が続いており、22年3月期には847億円の最終赤字に陥っており、再建は依然、見通せない」としている。

小木曽聡社長は記者会見で、部品メーカーなどの取引先には廃業を決めた例もあると明かし、「本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。仕入れ先に向き合い、困りごとに対し、愚直に対応していく」と謝罪したとも伝えている。

朝日は、日野に歴代社長の多くを送り込み、再建の行方を左右する親会社トヨタの関与について言及。トヨタが「グループ企業を含めた整理・再編に着手するのではないかとの観測も出ている」としながも「関与の度合いが定まっていない」と指摘。さらに、「今後の焦点の一つは、所有する日野株をどうするかだ」とも取り上げている。親の責任として一人暮らしの“放蕩息子”をいつまでも“勘当”したままではいられないだろう。

2022年10月28日付

●トヨタスマートキー1個に、納車時、半導体不足響く(読売・2面)

●日野、営業益82%減、23年3月期予想、最終益公表見送り(読売・9面)

●自動運転「レベル4」来春始動、警察庁配送ロボットも(読売・31面)

●ルノーEV会社最大15%出資へ、日産検討(毎日・6面)

●ディズニーシー新エリア開業延期(東京・6面)

●政府、EV補助金予算を積み増し(日経・15面)

●三菱商事、車開発の独社と新会社、EV素材販促支援(日経・17面)

●トヨタ・JERA、蓄電システム、コスト減、中古バッテリー活用(日経・17面)

トヨタのスイープ蓄電システム《図版提供 トヨタ自動車》