標準車、カスタム、ギアに続く、第4の『スペーシア』として登場したのがこの『スペーシアベース』。ユニークなのは4ナンバーの商用車である点で、ビジネスユースは当然ながら、プライベートでも使えるように仕立てられたところが特徴だ。
使い方も遊び方もユーザー次第
リヤゲートに“最大積載量200kg”とあり、リヤシートが小振りなのが商用車登録の証。“人”でいうと1〜2名乗車に重きを置き、後部はユーザーの使い方次第でいかようにも使えるようになっている。
後席は足元に折り畳んで沈ませられ、こうすることでラゲッジスペースと繋がった、低くフラットなスペースができる。この状態で荷室長×荷室幅×荷室高は1205×1245×1220mmと広い。自転車の積載も可能で、バックドアのシル部分にはよく見ると積み込みの際にタイヤを通すための切り欠きも。
それと“マルチボード(自重5.5kg)”と呼ぶ、自在な使い方が可能なボードは特徴のひとつ。ラゲッジスペースで使う場合は3段階の高さが選べ、もっとも低い状態では、フルリクライニングさせた前席と繋げたフルフラットモードが可能。
純正アクセサリーのクッション(サイズは210×54×2cm)を使えば車中泊も可能だ。一方で上段(高さ430mm)、中段(同・290mm)でテレワーク、移動販売などのデスク、テーブルとして活用することもできる。
またボードは立ててパーティションとして使うと、前/後で805/545mmにラゲッジスペースを分けた使い方が可能に。この場合、前側をペットの専用スペースとしてはいかがでしょう?とスズキがいうので、試しに我が家の愛犬を乗せてみると、なるほど犬の居場所は十分な広さで、フリーでもケージを使った状態でも楽に乗せられた。仕切られた後ろ側には荷物もタップリと積めるので、なかなか便利だった。
リヤクォーターに3本のビードが入った樹脂パネルを装着(室内側はポケットになっている)した外観は、スノッブな道具感がいい。ブラックパールに塗装されたフロントグリルがマイナーチェンジ前の『スペーシアカスタム』のそれだとお気付きの方はなかなかの通だと思う。
『ワゴンRスマイル』で採用した省燃費タイヤ(指定内圧は前/後=240/260kPa)を装着、フロントハブベアリングの容量をアップさせた以外は『スペーシア』と共通という足回りは、乗用車的なサラッと快適な乗り味になっている。
52ps/6.1kgmの性能の3気筒DOHC 12バルブ吸排気VVTエンジン+CVTは、日常から高速走行シーンまで、実用の範囲ならストレスのない動力性能を発揮している。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
【スズキ スペーシアベース 新型試乗】シゴトもアソビもユーザー次第で“映える”!?…島崎七生人
2022年10月03日(月) 20時00分
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