ヤマハ YZ450F《写真提供 ヤマハ発動機》

ヤマハ発動機は、5年ぶりのフルモデルチェンジとなる『YZ450F』をはじめ、市販モトクロッサー「YZシリーズ」2023年モデル9機種を10月31日から順次発売する。

なお、各モデルには共通コンセプトである直線的なホリゾンタル・ムーブメントのグラフィックと、ヤマハブルーに異なる色域のブルーを組み合わせたカラーリングを採用している。さらに『YZ250F』『YZ125』は、ファクトリーマシンのカラーリングイメージを再現した「モンスターエナジー ヤマハレーシングエディション」も販売する。

価格はYZ450Fが115万5000円、YZ250Fが91万3000円、同モンスターエナジー ヤマハレーシングエディションが92万4000円、YZ250が78万1000円、YZ125が73万7000円、同モンスターエナジー ヤマハレーシングエディションが74万8000円、YZ85LWが57万2000円、YZ85が56万1000円、YZ65が49万5000円。

◆パワフルで扱いやすい軽量エンジンを搭載
「Synchronizing the YZ with Every Rider」をコンセプトに開発したYZ450Fは、パワフルで扱いやすい新設計軽量449ccエンジンを搭載する。吸排気ポートまわりは、最も細いスロート部形状付近の混合気の流れを円滑化するため、鋳造後に2度の加工を加えてマルチアングルオーバル形状とし、吸入空気量をアップ。同時にチタン製の吸気バルブは、従来のΦ37からΦ39へ拡大し、最大リフト時の吸入空気量を従来比で9%アップしている。

ピストンは、燃焼室の形状と天面形状を見直し、裏面のリブ形状の最適化を施した。クランクアッセンブリーも新設計。クランクピン軸受けはプレーンベアリングとして軽量化し、コンロッドも新作している。クランク外径は従来のΦ117からΦ123に変更。重量効率を改善し、慣性モーメント・バランスを維持しながら軽量化を達成した。さらにクランクウェブは肉抜き加工し、バランサーを一新。ドライバビリティ向上、振動低減にも寄与している。

YZ450F新型では吸気の経路を「サイドカバーとタンクの隙間」および「メインシート下」に設けた。新気はサイドカバー/タンク/フレームに沿って、またタンク/シートに沿って通過。最適な吸気経路を導いたことにより、軽量・スリム化し、天面高も低減。さらに吸気通路への水・埃・泥の浸入も抑制できる。

◆新設計のクラッチ、ミッション、シフター
クラッチはプライマリーギアとハウジングをスチール製の一体構造とした。クラッチスプリングはダイレクト感が特徴の皿バネ式とし、軽量化とナロー化を実現した。クラッチ単体では3.14kgから2.39kgへと約0.75kg軽量化。またエンジンの左右幅は8.5mm短縮となり、ボディ幅もスリムになった。トランスミッションも新設計。メイン軸とドライブ軸間を従来から7mm広げることで各ギアの大径化を図り、強度を高めつつ軽量化も達成。さらに新トランスミッションにあわせ、レイアウトを最適化した軽量シフターを新作した。

また、走行時に後輪のスリップ量変化をECUにフィードバックし、点火制御で出力を抑えてトラクションを維持するトラクションコントロールを新採用した。介入度はデフォルトの「OFF」含め3段階に調整可能。介入度設定はパワーチューナーのアプリ上で行う。ローンチコントロールシステムには、スタート時のレブリミット(回転数上限設定)機能を追加。6000〜1万1000rpmの間で500rpm刻みで設定できる。

◆新設計バイラテラルビームフレームを採用
新設計のバイラテラルビームフレームは、スピードを維持したままコーナー進入ができ、旋回中のライン自在度が広いことを照準に開発。倒し込みの軽快感、自然な舵角感、ライン自由度などにも寄与。高次元なバンプ吸収感とコーナーでの俊敏性、回頭性を実現している。

前後サスペンションは、トラクション感とバンプ吸収性能の向上を照準に減衰特性をセッティング。フロントには、工具不要で圧減衰調整できる手回し圧減衰アジャスタを新たに採用している。さらにインナーチューブ表面劣化を防ぐために強化ダストシールを採用。リップ長をアップし、優れた追従性によりダスト侵入を抑制、オイルにじみのリスクを低減した。

◆ライディングポジション一新、軽快感あふれるデザイン
ボディ外装は、シートエッジからタンク、サイドカバー、シュラウドに至るまでライダーが触れる部分に丸みをもたせシームレス処理している。またフロント吸気ダクトの廃止により、シュラウドは左右幅を従来比で50mmナロー化、新作タンクは幅を従来比で6mm削減。さまざまなライディングアクションにフィットし、軽快な乗車フィーリングをもたらす。シートは、アクション自由度を広げるため天面高低差を従来比15mmフラット化。シート後方にはわずかなストッパー形状を織り込んで加速の際のホールド性を考慮している。ライディングポジションも一新。従来比でフットレストを5mmダウン、ヒップ〜フット間を10mm拡大、ハンドル位置はパイプ1本分手前に寄せるなど、自然な姿勢を得やすくした。

デザインコンセプトは「An Amazingly Light YZ」。軽快感のアピールやコンパクト化、そしてライダーが体を動かしやすくするために、フロントフェンダーやシュラウドなどのフロント周りを中心に進化・熟成を図った。YZの特長であるホリゾンタル・ムーブメントも進化。モトクロッサーならではのスピード感を高め、外観からマシンの性能の高さを表現している。