シトロエン C4《写真撮影 宮崎壮人》

今回のワンポイント確認は、「C4はフランス車っぽさを味わえるの?」である。

なぜこのポイントにしたかというと、その昔、フランス車といえば個性的なデザインと共に、やわらかサスだの粘り腰だのと独特な乗り心地が賞賛されていたものだ。ところが、だんだんドイツ車に寄せてきたかのように乗ったときの感触が硬めになってきたからである。

フランス車独特のあの雰囲気は、あの乗り心地はどこへ行った。もはやEUは一体化してしまったのか。

洒落っ気がなければ、フランス車ではない
しかし、新型となった『C4』は、ここのところのSUVテイストを意識しすぎた鈍重な(失礼)丸っこさから一転、なめらかでなだらかで垢ぬけたクーペを思わせるスタイルに仕上げられた。フランスは農業国で広い国土の多くが畑であることは知っている。しかし、我々がフランスでイメージするものは、パリだ。エッフェル塔だ。凱旋門とシャンゼリゼ通りなのだ。洒落っ気がなければ、フランス車ではないのである。

しかもこの顔つき。厚みのあるボディにうまいことラインを入れて、シトロエンらしさとデザイン性を両立させた仕上がり。我が道を行くフランス気質がむんむん漂っている。

運転席に座ると、柔らかく厚みのあるシートが体を受け止める。柔らかい、でも、ふにゃふにゃせずにオシリの重さをしっかりと受け止め包み込む感覚、これぞシトロエンではなかったか。ほかのクルマでは、大柄な体型の男性にはいいのかもしれないけれど、日本人の華奢な女性にはどうなのよというものが少なくないのだが、C4のシートは、日本肥満学会の判定基準で低体重にあたる私でも、身体にフィットし安心感のある座り心地でなのある。

畳みかけるように胸をときめかせる加速のよさ
外観のデザインと他では味わえないシートの感触で、すっかりフレンチムードに包まれるのだが、さらに畳みかけるように胸をときめかせるのは加速のよさである。今回の試乗車は、1.5リットルのディーゼルターボエンジンなのだが、これが、飛ぶように加速する。質感のあるボディから受ける印象からは想像できないほど、最初の瞬間から軽々と速度を上げていくのだ。

サスペンションのしなり具合もほどよく、路面に吸い付くような乗り心地にはエレガントさも垣間見える。

結論。C4は、フランスを十分に感じられる、走りも粋なクルマなのであった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。

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