アルファロメオ ジュリア 2.0ターボ ヴェローチェ《写真撮影 中村孝仁》

5月の連休前に久々にアルファロメオ『ジュリア』を借り出そうと思って広報車の借用を申し込むと、ちょうど車両の入れ替えなので少し待ってくれとの返事。

そしてようやく借り出したジュリアは「中村さん、すみませんド新車なんです」の言葉通り、走行僅か40kmという本当に出来立てホヤホヤという感じのモデルだった。なので、「それじゃランニングインを兼ねて距離走りますよ」、と言ってクルマを借り出した。返却時の積算計は950kmを少し超えていたから、1週間でおよそ900km走行した計算である。

というわけで久々にジュリアを堪能した。最後にジュリアに乗ったのは2019年のことで、その時はディーゼルエンジン搭載車だった。今はラインナップが整理されて、ディーゼル搭載車は無く、ガソリンの『Ti』及び今回お借りした『ヴェローチェ』。そして高性能版の『クワドリフォリオ』があるだけとなった。電動化を促進するとしているステランティスだが、アルファにはどう考えてもBEVは似合わないということを今回の試乗でも痛感することになった。

アルファサウンドにこそ「らしさ」あり
何故か。それは音である。105系の時代からジュリアを含めたアルファロメオのDOHCエンジンは独特のエクゾーストサウンドを奏で、正直それにやられたオーナーは沢山いるのではないかと思う。時代が移り、最新のジュリアにはGME(グローバルミディアムエンジン)と名付けられた2リットルのDOHC 16バルブを搭載しているが、他のFCAが採用しているこのGMEと共通するパーツは7割ほどと言われ、残り3割はアルファ独自のパーツが組み込まれているということになる。因みにこのGMEエンジンは同じFCA(今はステランティスだが)内ではジープ『ラングラー』に使われる2リットルのユニットも同じファミリーである。

で、音に戻ろう。はじめのうちは慣らしということもあって、あまり回転を上げずに走ったのだが、本当に血は争えないというか、だいぶ制音されているとはいえ、聞こえてくるサウンドは紛れもないアルファサウンドなのである。それも敢えて静粛性を優先させず、確実にドライバーの耳に届く、しかも邪魔をせず心地よく聞かせてくれるかなり心憎い演出がされている印象を受けた。105系からだいぶ進んで今はコードネーム952を持つ最新のジュリアだが、確実にアルファらしさを残したモデルだと断言できる。

電動化もいいが、最後まで抵抗して欲しい
今回のマイナーチェンジでは基本的にメカニズムには手を入れておらず、強いて言えばアルミホイールのデザインが変更されてブラック塗装のグリルやミラーハウジングが採用された程度。とはいえ、新たにLSDも装備されているから、姿変わらねど走り屋を熱くする方策は加えられているというわけである。

相変わらずステアリングのクィックさは健在。900kmも走るとすっかりこれに慣れてしまって、我が家のファミリーカー(同じステランティスのモデル)に乗り換えると、ハンドリングが本当にどん臭く感じてしまう。今回はジュリアにはあるまじきACCを使ってみた。まあ、慣らし中はこれで移動した方がストレスもかからないと思っての所業であるが、確かに使えるし高速移動は楽である。でも使った後にとてつもなく後ろめたさを感じさせるのはいったい何だろう?やはり自らの手と足を使って動かしてやるのが正しいジュリアの操作方法なのかもしれない。

足の決まり具合も中庸を得ている。ステアリングがクィックだから、ワインディングは常に最小の舵角で回れるし、このステアリングに慣れてしまうととにかくスムーズで軽快な身のこなしを堪能できる。というわけでDセグメントのセダンとしてはダントツのスポーツ性を備えたモデルだといえる。まさにスポーツセダンと言えばこれである。他と違うを痛感するのは性能だけでなく、真っ赤なシートにもそれを感じる。この色遣いはイタリア車ならでは。電動化もいいが、最後まで抵抗して欲しいと感じてしまうICEを名残惜しく思える1台である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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