日産 キャシュカイ 新型の「e-POWER」《photo by Nissan》

日産自動車の欧州部門は6月27日、新型『キャシュカイ』(Nissan Qashqai)に「e-POWER」を設定し、9月に欧州市場で発売すると発表した。欧州初のe-POWER搭載車となる。

◆可変圧縮比テクノロジー搭載の発電専用1.5リットルターボエンジン
従来型キャシュカイは、日本では一時期『デュアリス』として販売されていたSUVのモデルチェンジ版だ。日本市場では、デュアリスは『エクストレイル』に統合されたため、従来型以降、キャシュカイは日本市場には導入されていない。新型キャシュカイは日産の欧州市場における主力SUVだ。

このキャシュカイの新型に、欧州初のe-POWERが設定される。e-POWERの特長は、ガソリンエンジンが発電のためだけに使用され、駆動は電気モーターによって行う点にある。これによって、エンジンは常に最適な範囲内で作動し、従来の内燃エンジンと比較して優れた燃費と低いCO2排出量を実現しているという。

新型キャシュカイの場合、e-POWERシステムのモーターは、最大出力190ps、最大トルク33.6kgmを発生する。発電専用の1.5リットル直列3気筒ガソリンターボエンジンには、可変圧縮比テクノロジー(圧縮率の変動は8対1から14対1の範囲)が導入され、最大出力156hp、最大トルク25.5kgmを引き出す。e-POWERシステムには、ガソリンエンジン、発電機、インバーター、電気モーターが一体設計されている。充電は必要ない。欧州複合モード燃費は18.9km/リットル、CO2排出量は119g/km(いずれもWLTPサイクル)とした。

◆3種類の走行モードが切り替え可能
新型キャシュカイのe-POWERには、「スタンダード」、「スポーツ」、「エコ」の3種類の走行モードがある。スタンダードでは、優れた加速を生み出し、回生ブレーキが従来のガソリン車のエンジンブレーキのように作動する。スポーツモードでは、エンジンが休止する時間を少なくして、加速のレスポンスを高める。エコモードでは、バッテリーマネジメントを最適化し、高速道路など低負荷走行時には惰性走行することで、燃料を節約する。

すべてのモードで、「Bモード」が選択できる。これにより、アクセルオフ時のエネルギー回収量が増加し、ブレーキペダルを使用せずに効率的に減速することができる。

e-POWERを搭載した新型キャシュカイは、ライバルハイブリッド車よりも速く加速するだけでなく、より低いエンジン回転数で加速する、と自負する。このシステムは、フルEVのように静かに作動し、エンジン回転数と速度がリンクすることに重点を置いているため、加速時でも高いレベルの静粛性が得られるという。

◆ワンペダルで走行シーンの最大90%をカバー
EVの『リーフ』と同様に、新型キャシュカイのe-POWER搭載車では、「e-ペダル」モードと呼ばれる「ワンペダル」運転を可能にしている。ドライバーはアクセルペダルのみを使用して始動、加速、減速することができる。走行シーンの最大90%をカバーすることが可能という。

ストップ&ゴーが多い都市部の運転条件では、e-ペダルモードは、アクセルペダルから足を離すと、最大0.2Gの減速Gが得られる。アクセルペダルとブレーキペダルを踏み替える必要性を大幅に減らし、運転がより簡単でリラックスできるようになるという。

駐車時にはeペダルを最適化するために、クリープ現象が得られるようになっており、ブレーキペダルを使用して、車両を停止する必要がある。ワインディングロードでは、コーナリング中にブレーキを踏む機会を減らしてくれる。ドライバーは、ダッシュボードの12インチTFTメーターで、e-POWERのエネルギーフローをモニターし、システムの状態を確認できる、としている。

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