VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》

欧州車を選ぶ価値のひとつに、クリーンディーゼルターボの豊富な設定がある。日本車ではハイブリッドが普及して、ハッチバックやセダンでディーゼルを選べるのは今ではマツダ程度だが、欧州車には選択肢が多い。

特に馴染みやすい車種がフォルクスワーゲン『ゴルフTDI』だ。直列4気筒2リットルのクリーンディーゼルターボを搭載して、最高出力は150馬力(3000〜4200回転)、最大トルクは36.7kg-m(1600〜2750回転)になる。

アクセルペダルを踏み増した瞬間、高い駆動力が一気に沸き上がるディーゼルの感覚は希薄だが、実用回転域には十分な余裕があって扱いやすい。フル加速時には、シフトアップが4600回転前後で行われ、高回転域の吹き上がりも活発だ。ガソリンターボのような感覚で運転できる。

しかもWLTCモード燃費は20km/リットルだから、軽油価格がレギュラーガソリン価格に比べて1リットル当たり約20円安いことも考えると、燃料代は『N-BOX』のような背の高い軽自動車と同程度だ。ディーゼルの特徴として、実用回転域の駆動力に余裕があり、燃費性能も優れている。

走行安定性と乗り心地のバランスは、17インチタイヤ(225/45R17)を装着した「TDIスタイル」や「TDIアクティブアドバンス」が優れている。足まわりが柔軟に伸縮して、17インチタイヤとの相性も良い。

その代わりステアリング操作に対する反応はマイルドで、カーブを曲がる時にはボディが大きめに傾くが、挙動の変化が穏やかに進むから不安を感じさせない。

現行ゴルフの走りと乗り心地は、グレードや仕様による違いが大きい。この中で乗り心地が最も快適で気持ち良く運転できるのは、17インチタイヤを装着したTDIスタイルやTDIアクティブアドバンスだ。ゴルフが備えている素性の良さを、最も効果的に引き出している。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》 VW ゴルフTDI(写真はRライン)《写真撮影 中野英幸》