高萩市と日産自動車株式会社との車中泊体験の実証実験に関する協定《写真提供 日産自動車株式会社》

日産自動車は3月28日、茨城県高萩市と『高萩市と日産自動車株式会社との車中泊体験の実証実験に関する協定』を締結した。

この協定は、宿泊施設の不足や交流人口の減少など、観光事業の活性化に課題を持つ高萩市に、日産『キャラバン』を提供し、車中泊をベースとした市内観光の実証実験を行うというもの。今回の締結にあたり、高萩市役所内にて発表会が開催された。発表会には高萩市の大部勝規市長、高萩市企画部の矢代省吾部長、高萩市企画部地方創生課の渡邉慎課長、日産自動車日本マーケティング&セールス神田昌明理事(VP)、日産自動車日本マーケティング本部の山本聡チーフマーケティングマネージャーが出席。発表会は、大部市長と日産自動車 神田氏による、協定書への署名からスタートした。

続いて高萩市長の大部氏が登壇し、昨年12月に、高萩市を舞台に日産キャラバンを使ったアウトドアイベントを開催した際は、地域の魅力を全国にPRする良い機会となったと語った。茨城県の北東部に位置する高萩市は、東は太平洋、西は多賀山地が連なり、市域の約80パーセントを森林原野が占めるなど、豊かな自然に恵まれた町。これらの地域資源や、都心からのアクセスの良さをセールスポイントとして現在、『アウトドアのまち高萩』を推進中。令和元年度以降、ダム湖や河川などを活用したアウトドアフィールド事業の拡大に着手していることもあり、これらの事業を拡大し、まちの活性化につなげて行きたいと考えているとのこと。

続けて日産自動車神田氏が登壇し、日産自動車としてクルマで人々の生活を豊かにし、クルマでワクワクするといった体験を高萩市と一緒に取り組んでいきたいと意気込みを語った。

実証実験の具体的な内容や運用体制については、高萩市企画部地方創生課長 渡邉氏から解説があった。

◆日帰り観光が観光客の7割以上で滞在時間が短い
まず高萩市の一番の問題点について、日帰り観光が観光客の7割以上を占めており、滞在時間が短いということを挙げた。滞在時間が短いことは、消費活動も比例して低下し、悪循環が懸念されている。また市中に点在する空き家についても、増加傾向にある。これらの問題点の解決策を考えると、地域資源の利活用、滞在時間を伸ばすための手段として車中泊を推進する運びとなったという。

そこで日産自動車と連携し、車中泊をベースとした実証実験を実施するに至った。日産自動車は、車両のプロフェッショナルという視点から助言をし、高萩市は高萩市観光協会とタッグを組み、地域資源を有効に活用できるように、行政として対応していく。今回の協定に基づく実証実験については、高萩市が全体的な管理運営を行い、日産自動車は車中泊車両として日産キャラバン2台を提供し、車中泊参加者の募集や事務局との対応など、今回の実証実験全体をサポートする。高萩市観光協会は車両の管理、関係事業者との連絡役調整など、今回の車中泊事業の拠点として事業の運営を担う。

車中泊参加者へ提供する場所は、高戸小浜海岸、けやき平キャンプ場、さくら宇宙公園、山間地区住宅(空き家活用)、高萩里山交流館となっており、けやき平キャンプ場などでは今回の企画のためだけに絶景ポイントを用意するとのこと。アクティビティについては、SUP、ブッシュクラフト、セグウェイ&乗馬体験、ヨガ(温熱ドーム付き)、釣り(サーフ)、川釣り、管理釣り場での釣りの7つが楽しめる。今回は実証実験のため、利用者の生の声を聞きながら、本稼働に向けてサービス内容をカスタマイズしていきたいと考えているとのこと。

◆仕事用ではなくプライベートでキャラバンを使うユーザーが増えた
今回の車中泊の要となるキャラバンについては、日産自動車日本マーケティング本部山本聡チーフマーケティングマネージャーが解説した。

キャラバンはもともと仕事で使うユーザーが多かったが、近年のアウトドアニーズが高まったことで、プライベートでキャラバンを使うユーザーが増えてきた。そこで昨年の10月にビッグマイナーチェンジを行ない、内外装の大幅な質感の向上や、室内の快適性の向上、さらに先進安全装備の充実など、かなり手を入れて改善を図ったとのこと。そしてキャラバンはプライベートでも使えるというイメージをより多くの人に知ってもらうため、「AD“VAN”TURE(アドバンチャー)」というプロモーションを打ち出した。キャラバンのバンとアドベンチャーの造語で、キャラバンでアドベンチャーをとことん楽しんでもらうといったテーマで展開したという。

今回の企画で使用されるキャラバンは、車中泊の機能を備えた「マルチベッド」というグレードで、はね上げ式のベッドを標準装備している。さらにシートアレンジを活用すれば、向かい合わせで座ることもでき、使い勝手のよいモデルだ。ちなみにこのキャラバンのマルチベッドは、全国どの日産販売店でも購入が可能な車になっている。

最後に山本氏は、「高萩市と同じように観光産業に悩みを抱えている地域も多く存在するかと思う。そうした自治体あるいは事業者に今回の取り組みをモデルケースとして、車中泊による観光振興プロジェクトを今後も提案していければと考えている」と語った。

◆実証実験のため費用はかなり抑えめに設定
今回発表された車中泊体験の実証実験については、応募制となっている。実施日程は4月28日から5月17日までだが、3月28日から4月15日まで参加者が募集され、応募者多数の場合は抽選となる。募集人数は10組20名(小学生以下の場合は追加1名の同伴も可。ペット不可。)を想定。参加費用はひとり6000円[税込]。小学生までは3000円[税込]。体験内容は7種のアクティビティから2種を選択。5ヵ所の車中泊スポットから1種を選択する。日産キャラバンマルチベッドで車中泊となり、1泊2食分の食事付き(1日目の夕食と2日目の昼食)。

高萩市長大部勝規氏、日産自動車神田氏が協定書に署名。《写真提供 日産自動車株式会社》 高萩市長大部勝規氏と日産自動車 神田氏が署名した協定書を披露。《写真提供 日産自動車株式会社》 高萩市長大部勝規氏。《写真提供 日産自動車株式会社》 日産自動車日本マーケティング&セールス理事(VP) 神田昌明氏が登壇。《写真提供 日産自動車株式会社》 高萩市企画部地方創生課長渡邉慎氏が今回の企画詳細について解説した。《写真提供 日産自動車株式会社》 高萩市ならではのスポットが用意されている。《写真提供 日産自動車株式会社》 アクティビティは7つから体験したいふたつを選択する。《写真提供 日産自動車株式会社》 日産自動車日本マーケティング本部チーフマーケティングマネージャー 山本聡氏はキャラバンについての説明を行った。《写真提供 日産自動車株式会社》 フルベッドスタイルにすれば、大人2名子供1名が寝ることもできる。《写真提供 日産自動車株式会社》