鈴木力燕市長(左)とFCAジャパンマーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ氏(右)《写真撮影  内田俊一》

7月4日、新潟県燕市役所特設会場において、フィアット『500』のお誕生会、「FIAT PICNIC」が開催された。主催はFCAジャパン。せっかく集まってもらうのだからと、FCAジャパンはサプライズとして『500e』を日本初公開した。

◆クルマも人もソーシャルディスタンス

昨年はオンライン開催だったFIAT PICNIC。今年も引き続きコロナ禍ではあるが、ファンとのコミュニケーションを取りたいと、例年より参加人数を少なくすべく、応募者の中から抽選で100組を招待し、そのうちの約80組が来場。久々のリアル開催に大いに楽しんでいた。

午前10時過ぎからぱたぱたという独特のエンジン音を響かせながらツインエアーの500をはじめ、色とりどりの500達がどんどん集まり始め、会場を埋め尽くした。受け付けを済ませた来場者は、誘導された所定の位置にクルマを止めた後、FCAジャパンが用意したタープを設置。これは、それぞれのクルマとの間でのソーシャルディスタンスを保つとともに、雨が予想されたことから、その際の雨よけとしても活用。そこでお弁当を食べたり、くつろいだりと思い思いの時間を過ごしていた。

定刻の12時になるとともに徐々に雨が強くなってきたものの、開会式には皆傘を持って集合し、イベントはスタートした。

◆田んぼアートとカトラリーが縁で

挨拶に立った鈴木力燕市長は、「燕市は金属製品の日本有数の産地である。代表的な例ではノーベル賞の晩餐会で使われる金属洋食器は燕市で作っているなど、伝統的にものづくりが盛んな土地だ。さらに農業も非常に盛んで、田んぼの面積当たりの米収穫量は新潟県一位。さらにキュウリやトマトも県内では2番目の生産量だ」と紹介し、「このように持続可能な社会を作っているという観点で、燕市が相応しいと今回フィアットアグリアートプロジェクトに選ばれた」とコメント。

このプロジェクトは、日本のものづくり支援の一環として、フィアットが様々な産地とコラボレーションしながら地域を紹介するものだ。今年はカラフルな稲で表現する大地の芸術“田んぼアート”を燕市役所南面の田んぼを借用し、ものづくり支援の次なる試みとして行った。

FCAジャパンマーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ氏は燕市について、「この街は工場(産業)と田んぼ(農業)、そして住む人間のバランスがすごく取れている。これはサスティナビリティを中心にした我々のプロジェクトがすごく大事にしていることだ。燕と同じようにこういったバランスをとらなければいけない」と語る。

そして、「今回のアグリアートはフィアットの心を表した絵だ」とティツィアナ氏。その理由は、「クロスカルチャーというコンセプトがある。私たちフィアットと一緒にワンカントリーになることが重要だ。イタリアと日本、伝統と伝統、そして社会活動を含めた全部がここで見られるだろう。心が明るくなれるものになっている」という。

また、燕市とフィアットはそれ以前から関係があった。それは、メイドインジャパンプロジェクト(MIJP)だ。イタリアと日本には、それぞれの優れた伝統文化とその技術を受け継ぐとともに、日常の中で実際に使われ、愛される“ものづくり”に魂を込めている人々、アルチザン、職人と呼ばれる人たちがいる。イタリアの“ものづくり”文化を代表するフィアットでは、日本の文化ともっと交流し、もっとCuore(クオーレ:心)を通わせ合いたいとの想いから、立ち上げたプロジェクトだ。これは、日本の“ものづくり”文化継承を目的にするNPO法人「メイド・イン・ジャパン・プロジェクト」とのコラボレーションによって、日本の優れた伝統工芸品に、新たな光をあてる活動だ。

燕市とは2015年に人を笑顔にし、食事をもっと楽しくする“おいしいカトラリー”を製作し関係があった。そこで今回、田んぼアートが見ごろになるこのタイミングで、「ぜひみなさんにこのアートを見てもらいたい」というティツィアナ氏らの思いから、この地での開催に至ったのだ。

イベント内ではテノール歌手の柴田泰孝氏のライブや宝石石鹸手作りワークショップ、市役所内で燕三条地場産センター物販や体験ブースなどもあり、多くのフィアットオーナーが思い思いに楽しんでいた。

◆日本初公開の500e

今回はサプライズがあった。それは日本で初めて『500e』が公開されたことだ。「今日は1950年代のクルマの誕生日だが、7月はフィアットの誕生月でもある。そこで今回はフィアットオーナーの皆さんに見てもらいたいと初展示した。一番新しいニュースは、真っ先にフィアットオーナーの方々のコミュニティと一緒にシェアすることが大切」とティツィアナ氏はコメントした。

◆もっともっと会いたい

このイベントについて、「オーナーさんと一緒に楽しむことができ、フィアットを長く愛してもらうためのイベント」とFCAジャパンは位置づけるだ。今回で11回目となるが、「お客様が毎年楽しみにしていると声をかけてくれ、必ず来てくれるお客様もいて、どんどんその数が増えていっている。そうして長く愛してもらえているクルマだからこそ、我々も長く続けられている」とのこと。

ティツィアナ氏は、「フィアットのコミュニティはインフォーマルで温かい人達が多い。もちろんクルマは好きだが、ライフスタイルとして自分の好きなことにこだわり、ファッションにもすごく気をつけているのがとても嬉しい」とオーナーの特徴を説明。そして、「そういったコミュニティと会う機会、チャンスは他のブランドではあまりない。だからこそ、このコミュニティを大事にしながらお互いに色々な面白い“エクスチェンジ”をしていきたい」と話す。

ティツィアナ氏がFCAジャパンに入社したのが2005年。500のローンチは2008年だ。「ローンチ前からこのコミュニティの強さ、力、エネルギーにすごく憧れていて、日本人のフィアットラバーはすごいと思っていた。だからもっともっと会いたいと思っている。このピクニックも皆さんに会うひとつのチャンス。だから毎年多くの人に会えるのはすごく楽しみにしているし、毎年そういった機会を作っていきたい」という。

そして、「去年はオンラインだけ、今回は100組弱だった。しかし、来年は2000人規模でやってみたい。もちろん人数が大事なのではなく、皆さんの温かさを沢山感じ、多くの人たちにも感じてもらいたい」と今後について語った。

フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 フィアット 500e《写真撮影  内田俊一》 メイドインジャパンプロジェクトでの燕市の作品《写真撮影  内田俊一》 メイドインジャパンプロジェクトの作品たち《写真撮影  内田俊一》 FIAT PICNIC《写真撮影  内田俊一》 純銅タンブラー鎚目入れ体験《写真撮影  内田俊一》 燕三条地場産センター物販コーナー《写真撮影  内田俊一》 田んぼアート《写真撮影  内田俊一》 テノール歌手の柴田泰孝氏《写真撮影  内田俊一》 宝石石鹸手作りワークショップ《写真撮影  内田俊一》 続々と到着するフィアット 500たち《写真撮影  内田俊一》 受け付けを済ませると、所定の位置に移動《写真撮影  内田俊一》 ソーシャルディスタンスを保ちながらセッティング《写真撮影  内田俊一》 設置したタープにデコレーションを《写真撮影  内田俊一》 いろいろ工夫を凝らしてタープを設置《写真撮影  内田俊一》 ずらりと並んだ500たち《写真撮影  内田俊一》 タープを設置して思い思いの時間を楽しむ《写真撮影  内田俊一》 FIAT PICNIC《写真撮影  内田俊一》 また来年お会いしましょう《写真撮影  内田俊一》 田んぼアート《写真提供  FCAジャパン》