東京の集団接種会場(5月24日)《Photo by Carl Court/Getty Images News/ゲッティイメージズ》

内閣支持率が急落中の菅首相が「国民が安全安心した日常を取り戻せるように全力で取り組む」などと、意気込みながら「1日100万回接種」を掲げて、新型コロナウイルスのワクチン接種に猛チャージをかけ始めたようだ。

政府はワクチン接種について、職場や大学などで行う「職域接種」を6月21日から開始すると発表。米モデルナ社製のワクチンを使う予定で、国や都道府県による大規模接種と、米ファイザー社製を使う市区町村の接種と合わせて、3つの接種ルートができることになるという。

きょうの各紙が報じているが、一部の企業では実施に向けた検討が始まっていることを伝えている。

それによると、トヨタ自動車も実施を検討していることを表明。接種の対象者や開始の時期など具体的な内容はこれから詰めるという。駐在員など海外で働く従業員は現地で接種を済ませている場合があるが、トヨタの従業員数は、単体で約7万人、連結で約36万人。日本最大規模の従業員数を持つトヨタが職場での接種を進めることで接種ペースを速め、コロナの収束につなげたい考えのようだ。

トヨタのほかにもホンダやキヤノン、JR東日本、日本郵船、日本航空、ソニーグループ、コマツ、伊藤忠商事、セブン&アイ・ホールディングス、三菱ケミカルなどの大手企業でも従業員の接種を検討しているという。

一方、トヨタは地元の愛知県豊田市の集団接種の運営に参画。作業のムダを省く「トヨタ生産方式」を生かしているそうだ。朝日が報じているが、接種の作業にかかる時間をトヨタ社員が計測。「手指消毒12秒」「上着を脱ぐのに30秒」などと確認し、接種を受ける人が滞留しにくい動線を設計。来場者に受付書類をカバンから事前に出してもらうよう呼び掛けるなど「カイゼン」を進める、などと取り上げている。

先週、私も地元の区内の接種場所で1回目の接種を受けたが、会場には複数の誘導係員が親切に案内をしてくれて、検温、問診、接種などがスムーズに進んだ。だが、その案内係の人数が異常なほどに多すぎるのには驚いた。「税金の無駄遣い」とまでは言いたくないが、会場内の密を避ける意味でも“カイゼン”の余地はあるようだ。

2021年6月2日付

●インド景気後退深刻、個人消費陰り、コロナ追い打ち (読売・8面)

●五輪海外選手団が来日、豪州代表市民と接触避け合宿 (朝日・1面)

●ルネサス火災工場中旬にも生産回復(朝日・6面)

●トヨタやホンダなどマレーシア生産停止、全土ロックダウン受け (朝日・7面)

●経団連「脱炭素」強化、女性活躍推進もアピール(毎日・7面)

●国内新車販売反動で46%増、5月(毎日・7面)

●トヨタ、10車種2万4162台リコール (産経・22面)

●代々木公園PV一転中止、五輪期間中ワクチン会場に(東京・1面)

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