パナソニックの楠見CEO《写真提供 パナソニック》

「最優先で取り組むべきことは地球環境問題である」---。6月24日付でパナソニックの次期社長に就任予定の楠見雄規CEO(最高経営責任者)が、オンライン方式による経営方針説明会を開き、2030年までに事業活動にともなうCO2(二酸化炭素)の排出量を「実質ゼロにする」との方針を明らかにした。

パナソニックは事業拠点への燃料電池の導入など環境対応を加速させるとともに、社外にも製品やノウハウを販売するなど環境ビジネスを新たな成長事業に育てる意向のようだ。このため、パナソニックの目標は19年度実績で223万トンだった事業活動にともなうCO2排出量を30年までに実質ゼロとしている。大手企業の中では温暖化ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンゼロ」を目標に掲げる企業は多いが、大半が2040〜50年を目標としており、パナソニックのように9年後の2030年までと明言した企業はまだ少ない。

パナソニックは、22年4月には持ち株会社制に移行。「パナソニックホールディングス(HD)」の下に、家電、空調、電気設備などを担う「パナソニック」や車載電池などのエナジー事業会社など8社を傘下に、各事業会社で経営責任を明確にする。こうした中、環境ビジネスを軸として、長期にわたる停滞からの赤字体質の脱却を目指す方針で、楠見CEOも会見で「経営の神様」といわれる創業者の松下幸之助氏の「水道哲学」や「物心一如」などの思想を引き合いに出してアピールするなど、その意気込みはそれなりに伝わったとみられる。

ただ、きょうの日経や産経などが「パナソニック、CO2ゼロ、30年目標環境分野、成長の軸に」とのタイトルで報じているが、環境への取り組み以外は個々の事業の具体的な戦略はほとんど示さなかったことからなのか、読売、朝日、毎日の3紙の朝刊は取り上げていない。

2021年5月28日付

●CO2シェルに削減命令、30年までに45% (読売・2面)

●米フォード、EV開発に3,3兆円 (朝日・8面)

●緊急事態来月20日まで、9都道府県延長きょう決定 (毎日・1面)

●EV急速充電器3万基、政府、街中に給油所並み整備 (産経・1面)

●パナ2030年排出ゼロ、次期社長脱炭素「最優先で」 (産経・11面)

●ホンダジェット飛行距離222キロ増、来月注文受け付け (産経・11面)

●三菱自、30万2097台リコール(産経・28面)

●巽外夫さんお別れ会、東京・大阪で1250人参列 (日経・8面)

●テスラ大型蓄電池へ参入、日本で再生エネ発電所向け(日経・13面)

パナソニック、純水素型燃料電池を活用したRE100化ソリューション(イメージ)《図版提供 パナソニック》