マツダ MX-30 EV《写真撮影 島崎七生人》

マツダ『MX-30』は日本ではMHEV、EVが登場。2022年前半には、現時点で我々に詳細は不明だが「ロータリーエンジンを発電機とする電動化技術を搭載したクルマの投入」(マツダ)を予定しているという。

いずれも電動化技術を搭載したモデルだが、それら3タイプは当初から計画され、同時並行で開発されたという。「3つのラインアップを揃えて国、地域、お客様の使われ方に応じて選んでいただこう」(竹内主査)という狙いだったのだそう。


いずれにしても、純粋なガソリン車、ディーゼル車は用意せず、『MX−30』はスタイリングだけでなく、エンジニアリング的にも、他のマツダ車とは一線を画すラインということだ。

ちなみにEVモデルの35.5kWh(WLTCモード・1充電走行距離は256km、JC08モードは281km)のバッテリー容量は、シティユースに合わせ、レイアウトとともに開発の早い段階で決まっていたのだそう。ちなみにEVとしてのスペックは、DCチャージャーの仕様の違い(日本=CHAdeMO、欧州=Combo)のみという。

◆逆説的だが“EVらしさを意識させないクルマ”


短時間ながら実車に試乗した印象だが、一言で表現すると逆説的だが“EVらしさを意識させないクルマ”だった。もちろん電気モーターのスムースさ、決め細かなレスポンス、静粛性はEVならでは。だが、EVならではの立ち上がりのトルクの大きさとか、そういった特殊な印象よりも、普通に運転していると、むしろ上級ガソリン車のように自然な加・減速が味わえ、EVであることを忘れさせる……といえる走りのマナーに感じられる、のである。

もちろん車重は1650kgあり、MHEVのFF車(1460kg)との差分と、バッテリーが車両中央床下に搭載されることで、クルマがより路面に押し付けられるような重厚でフラットかつよりなめらかなな乗り味に感じるのは好感がもてた。

また実は試乗後に資料に目を通して知ったのだが、G-ベクタリングコントロールプラスも新制御の“e-GVC Plus”が搭載され、それはステアリングを切る操作を始めてこれまでどおりクルマの挙動が素直なだけでなく、その後半のクルマの姿勢の安定感がこれまで以上であるところに効果が出ているのだと感じた。

◆ボンネット内はテナントの入っていない貸しビルのよう


内・外観はもともと“ひと味違う”のが『MX-30』の魅力だが、ならばさらにEVならではのボディ色、内装色の設定の用意があれば、EVを選ぼうとするコダワリ派のユーザーはさらに嬉しいのではないだろうか。

現状のEVでは、ボンネットを開けて覗くと、コンパートメントの進行方向左側が、まだテナントの入っていない貸しビルの一室のようにガランとしていて驚くが、ここにロータリーエンジンが収まる仕様の走り、実用性が確かめられる日が来るのが待ち遠しい。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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