フォルクスワーゲン I.D. BUZZ(コンセプトカー)《photo by VW》

フォルクスワーゲン(Volkswagen)は2月26日、新型EVの『ID. BUZZ』を2022年にワールドプレミアすると発表した。

◆コンセプトカーは1回の充電での航続が550km以上

フォルクスワーゲンは2017年1月、米国で開催されたデトロイトモーターショー2017において、EVコンセプトカーのI.D. BUZZを初公開した。I.D. BUZZは、多人数が乗車できるEVマイクロバスを提案していた。

ID. BUZZのデザインは、伝説になっている『タイプ2バス』、愛称「ブリー」(米国の愛称は「マイクロバス」)のDNAを継承している。I.D. BUZZの車台には、フォルクスワーゲンの新開発の電動車向けモジュラープラットフォーム「MEB」を採用した。ボディサイズは、全長5048mm、全幅1976mm、全高1963mm、ホイールベース3300mmだ。

EVパワートレインは、前後に搭載するモーターが最大出力204hpを発生し、最高速160km/h(リミッター作動)の性能を発揮する。バッテリーはリチウムイオンで、蓄電容量は48kWhだ。大容量の111kWh仕様の搭載も可能。1回の充電での111kWh仕様の航続は、WLTP計測モードで550km以上の性能を備える。

I.D. BUZZは、出力150kWの急速チャージャーが利用できる。バッテリーの80%の容量なら、蓄電容量48kWh仕様なら15分、111kWh仕様なら30分で充電が完了する。

◆MaaS向け自動運転車のベースとなるID. BUZZ

フォルクスワーゲンは、このコンセプトカーの市販版となる新型EVを同名のID. BUZZとして、2022年にワールドプレミアする予定。フォルクスワーゲンの商用車ブランドは、「サービスとしてのモビリティ(MaaS)」のために、自動運転の研究開発を進めており、これにID. BUZZを使用する計画だ。

フォルクスワーゲングループとフォードモーターは、提携の一環として、自動運転向けソフトウェアを手がけるアルゴAIに出資した。その狙いは、自動運転システムの迅速な開発と実用化にある。フォルクスワーゲングループは10億ドルの出資に加えて、子会社のAID(Autonomous Intelligent Driving)をアルゴAIと統合する。

フォルクスワーゲングループは、アルゴAIへの出資に加えて、すべてのフォルクスワーゲンのプライベートモビリティセクター向けに、レベル4までの先進運転支援システム(ADAS)と自動運転機能を、アルゴAIと独立して開発する。「Car.SoftwareOrganization」のプロジェクトにも数十億ドルを投資している。

フォルクスワーゲンの商用車ブランドは、アルゴAIの自動運転システム「SDS」を搭載する車両を開発している。ベース車両は、新型EVのID. BUZZになる。ID. BUZZ をSDSを搭載した革新的な自動運転車に変えるために、開発はすでにフルスピードで進められているという。

◆ID. BUZZの自動運転プロトタイプ車で実証実験へ

フォルクスワーゲンによると、同社の商用車ブランドは、完全自動運転システムの開発と都市部での商業利用の2025年の実用化を目指しており、ロボットタクシーやロボットバンなどを開発・生産していくという。

この目標の実現に向けて、フォルクスワーゲンは2021年内に、ドイツで自動運転車の実証実験を開始する予定だ。この実証実験では、アルゴAIの自動運転システムをID. BUZZのプロトタイプ車に搭載する。

これにより、フォルクスワーゲングループのモビリティサービス会社、「MOIA」が現在提供しているものと同様に、ライドヘイリング(配車サービス)とカープーリング(相乗り)のシステムを開発することを目指す。フォルクスワーゲンの自動運転の責任者、クリスチャン・センガー氏は、「2020年代の半ばに、一部都市では自動運転車で目的地に移動できるようになる」と述べている。

フォルクスワーゲン I.D. BUZZ(コンセプトカー)《photo by VW》 フォルクスワーゲン I.D. BUZZ(コンセプトカー)《photo by VW》 フォルクスワーゲン I.D. BUZZ(コンセプトカー)《photo by VW》 フォルクスワーゲン I.D. BUZZ(コンセプトカー)《photo by VW》 フォルクスワーゲン I.D. BUZZ(コンセプトカー)《photo by VW》 フォルクスワーゲン I.D. BUZZ ベースの自動運転プロトタイプ車《photo by VW》