パナソニックの梅田博和CFO《オンライン配信スクリーンショット》

パナソニックは2月2日、2020年度第3四半期累計(4〜12月)連結決算を発表した。その会見の席上、取締役常務執行役員の梅田博和CFOは新型車載電池「4680」について「現段階、開発のフェーズで、まもなく試作ラインの設置を進める」と述べた。

「4680」とはテスラのイーロン・マスクCEOが構想として発表した高容量の円筒電池のことで、パナソニックはその発表を受けてすぐに開発に着手した。いち早く試作ラインを立ち上げて、大容量を実現する電池の開発工法を確立し、競合他社との差別化を図ろうというわけだ。

試作ラインは住之江工場(大阪市住之江区)に数十億円かけて設置されると見られているが、その後の展開については今のところ白紙だ。「まだ、どこの工場に展開するとか、との程度つくるとか言う状況ではなく、今は4680の開発、試作することに集中している」と梅田CFO。

また、テスラの事業についても、2Qで黒字化し、3Qでは2ケタ億円の黒字となって、通期でも黒字を見通せる状態になったそうだ。「これまでわれわれは生産を粛々と進めてきたが、時期にズレがあった。しかし今はテスラのEVは非常に好調な売れ行きを示し、われわれは電池を思い切りつくれる段階に入っている。数量が上がってくると、電池の材料の合理化もかなり進んでくる。量に応じてコストダウンが図れ、またこれまでロスを生じていた生産ラインの改善も進んできたので、黒字化を見通せるようになってきた」と梅田CFOは説明する。

オートモーティブの4〜12月期の営業損益は74億円の赤字(前年同期は292億円の赤字)と赤字幅が縮小した。通期の業績見通しについても、前回公表の数字から売上高が900億円増の1兆3400億円、営業損益が320億円改善して20億円の赤字へと縮小する。ようやくトンネルから抜け出せそうだ。

同日発表した2020年度第3四半期累計の業績は、売上高が前年同期比15.3%減の4兆8732億円、営業利益が同5.8%減の2268億円、当期純利益が同26.9%減の1301億円と減収減益だが、第2四半期累計(4〜9月)の数字よりも減少率が大きく改善している。

その結果、通期見通しも売上高が1000億円プラスの6兆6000億円、営業利益が800億円プラスの2300億円、当期純利益が500億円プラスの1500億円に上方修正した。しかし、減収減益決算であることに変わりはなく、パナソニックはさらなる構造改革を進め、成長事業を早く育成する必要がある。

パナソニックの2020年度通期見通し