トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》

『RAV4ハイブリッド』をベースに、充電機能を加えた仕様がPHVだ。駆動用リチウムイオン電池の総電力量には18.1kWhの余裕があり、WLTCモードにおいて、1回の充電で95kmを走行できる。ちなみに『エクリプスクロスPHEV』は、総電力量が13.8kWhで、1回の充電で57.3kmを走れる。

『RAV4 PHV』では動力性能にも注目したい。直列4気筒2.5リットルエンジンと、後輪を駆動するモーターの性能はRAV4ハイブリッドと同等だが、前輪のモーターは大幅にパワーアップした。エンジンとモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は、RAV4ハイブリッドが222馬力、PHVは306馬力と強力だ。

◆RAV4ハイブリッドとの走りの違いは


加速性能も大幅に異なる。RAV4ハイブリッドは、感覚的には3リットルのノーマルガソリンエンジンと同等だが、PHVは3.5〜4.0リットル並みだ。走行モードをHV(ハイブリッド)モード+スポーツモードにすると相当にパワフルで、不用意にアクセルペダルを踏み込むと、前輪が空転することもある。

その代わりRAV4 PHVはボディが重く、ハイブリッドを約200kg上まわる。峠道などを走るとハイブリッドの方が軽快だ。逆に乗り心地は、ボディが重いこともあってPHVが重厚に感じた。

このような車両の性格を考えると、RAV4 PHVは充電された電気で街中を走り、なおかつ高速道路を使って長距離を移動する使い方に適する。PHVが充電された電気を使わずにハイブリッド車として走る時のWLTCモード燃費は22.2km/リットルだから、RAV4ハイブリッドの20.6km/リットルよりも優れている。つまりPHVは燃費効率も上まわる。



◆車両本体の善し悪しだけでは決まらない

「RAV4 PHV G」の価格は469万円だ。「ハイブリッドG 4WD」よりも約66万円高いが、PHVでは申請すると2020年度の実績で22万円の補助金が交付され、実質差額は44万円に縮まる。この差額を燃料代の節約で取り戻すことは困難だが、動力性能の向上も含めると、魅力のあるモデルだろう。

ただしRAV4 PHVは、今は受注を停止している。1か月の販売計画が300台と少なく、2020年度(2021年3月まで)の生産分を終了したからだ。顧客を待たせず、適切な期間で納車できることも、商品力を決める大切な要素になる。車両本体の善し悪しだけでは決まらない。



■5つ星の評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 雪岡直樹》 トヨタ RAV4 PHV《写真撮影 山内潤也》